2005年7月6日(水)「しんぶん赤旗」
郵政民営化関連六法案
塩川議員の反対討論(大要)
衆院本会議
五日の衆院本会議で、日本共産党の塩川鉄也議員がおこなった郵政民営化関連六法案および修正案に対する反対討論(大要)は次の通りです。
日本共産党を代表して、郵政民営化関連六法案および修正案に反対の討論を行います。
第一の理由は、もうけ第一の民間ではできない、国民生活に不可欠な金融のユニバーサルサービス(全国一律サービス)を保障してきた郵便貯金法・簡易保険法・日本郵政公社法等、郵政関連法を廃止することです。
小泉首相は「民間にできることは民間に」と言いますが、民間にできないことをやっているのが郵便局なのです。郵便局は、「あまねく公平に」、国民生活に不可欠な基礎的通信・金融サービスを提供する役割を果たしています。
具体的には第一に、少額の貯金や日常の金銭の出し入れの妨げとなる口座維持手数料や平日時間外・休日のATM(現金自動預払機)引き出し手数料を取らず、庶民の金融サービスを保障していることです。
第二に、すべてのATMを障害者に使いやすい仕様にし、郵便局に点字ブロックを設置するなど、お年寄りや障害者にも、だれにも公平に利用できる金融サービスを保障していることです。
第三に、過疎地を含め、全国あまねく、どこに住んでいても、郵便・貯金・保険の基礎的通信・金融サービスが受けられるように、郵便局を設置していることです。
これが、郵便局が果たしているユニバーサルサービスの中身です。これに対して、もうけ第一の民間銀行は、次々と店舗を統廃合し、取れるところから手数料をどんどん引き上げています。お年寄りや障害者へのバリアフリー対応は、遅々として進んでいません。郵便局を「民間」にすれば、これらの公共的サービスができなくなる、「公」でなければできない―このことが、審議を通じて、誰の目にも明らかになったのです。
世界を見ても、民間まかせにしている国はどうなっているか。
アメリカでは低所得層の38%、イギリスでは五世帯に一世帯が、銀行口座を持てずに大きな社会問題となっています。このもとで、各国で、庶民の口座を公的に保障する取り組みが始まっているのです。
急速に高齢化社会に向かう日本で、現に機能している郵便局のユニバーサルサービスを解体する郵政民営化が、世界の流れにも、時代の流れにも逆行する愚行であることは明白です。
第二の理由は、分割・民営化によって、郵便貯金銀行や郵便保険会社に、預金保険料や消費税など、数千億円にのぼる巨額の理不尽なコストを課すことです。
政府の試算でも、公社のままなら、十七年後の二〇二二年度にも黒字が続くのに対して、民営化した郵便貯金銀行は、預金保険料や手数料への消費税課税など不合理で巨額のコストを新たに課され、移行期間中にも六百億円の赤字になることが明らかになりました。基金を二兆円積んでも、その運用益は三百六十億円にすぎません。破たんは明白です。
第三は、銀行代理店問題や株式の持ち合い問題など、法案の中心点で、竹中平蔵担当相が答弁不能になるなど、法案は矛盾だらけで、法案の体をなさない、欠陥法案だということです。
なお、修正案は原案をなんら変えるものではなく、まったく問題にもなりません。
最後にそもそも、今回の郵政民営化が国民のためのものではなく、国民の郵貯・簡保資産三百四十兆円の開放を自らのビジネスチャンスの拡大として要求してきた日米金融資本の要求にこたえたものだということです。
日米金融資本のために、国民生活の隅々に浸透し、土台から支えてきた郵政事業を根本から破壊する郵政民営化法案は断じて認められません。郵政民営化法案は、廃案にすべきことを強調して反対討論を終わります。