2005年7月6日(水)「しんぶん赤旗」
テレビのデジタル化 負担どう考える?
〈問い〉 2011年からテレビが完全デジタル化になるということですが大変な負担になるようです。私の村では山間地なので加入者の負担で作った共用アンテナが9カ所ありますが、これらをデジタル化すると、受信料とは別に、施設維持費等に月額3000〜3500円かかるという試算が出ました。それに対応するテレビが買えない場合はいまあるテレビにチューナーやアダプターをつけなければならずそれにも5万〜10万円かかるそうです。どう考えるべきなのでしょう?(長野・一読者)
〈答え〉 地上デジタル放送は、高画質、双方向機能などをうたい文句に2003年12月から関東、中京、近畿で始まりました。その後、各地で順次デジタル化が進み、従来のアナログ放送は2011年7月に打ち切るとしています。
地上デジタル放送を見るには、対応のテレビかチューナーを新たに購入しなければなりません。価格はチューナーが4万円〜6万円、薄型テレビは1インチ1万円前後と高価です。アナログ放送打ち切りとなれば、視聴者負担で一方的に買い換えを迫られます。
マンションや山間部の共聴アンテナも、デジタル対応のものが必要になったり、維持費がかかったりする場合があります。
また、テレビ局も設備費や電波塔の調整などNHKと民放あわせて1兆2千億円の投資を強いられます。11年までにすべての地域をデジタル化するのはむずかしいとの声も、放送関係者や研究者の中から出ています。
当初、アナログ放送の終了は、デジタル受像機の世帯普及率が85%になった時点で検討することになっていました。しかし、01年の国会で電波法改定として突然、11年に終了すると期限が持ち出されたのです。
日本共産党は、この電波法改定に反対し、アナログ放送の打ち切りを見直す修正案を提出しました。
デジタル化を急ぐ背景には、総務省の主導に乗じたNHKや大手民放局の思惑、テレビ買い替えをねらう電器メーカーのもくろみがあります。
日本民間放送労働組合連合会(民放労連)は、デジタル化計画の見直しを求める署名運動をしています。
電波は国民共有の財産。国民に地上デジタル計画について広く知らせ、合意を得ることが必要です。それを踏まえて、計画を作り直すことが求められます。(孝)
〔2005・7・6(水)〕