2005年7月7日(木)「しんぶん赤旗」
政局緊迫
「ポスト小泉」の風
郵政法案 5票差の波紋
自民党内から五十一人の反対・棄権が出た郵政民営化法案の衆院本会議可決から一夜明けた六日。自民党は副幹事長会議を開き、大量の「造反者」への対応に追われました。武部勤幹事長は席上、「参院の審議を円滑に進めるための環境づくりをしていこう」と、法案成立に向け党内融和にとりくむ方針を強調しました。
しかし、反対派からは「参院では(法案否決のために)十八人の反対でいい。小泉純一郎首相はもはや天下無敵ではない」(野田聖子元郵政相、六日の講演)と小泉批判がいっそう強まっています。小泉首相の求心力の低下が表面化。政局は一気に流動化しそうな動きです。
「衆院で修正のうえ可決すれば、反対の多い参院も何とか乗り切れる」との党執行部の目算が完全にはずれたいま、参院での攻防が緊迫の度を増すことは避けられません。
小泉首相は六日午前、記者団に「参院で法案が否決された場合、内閣不信任と考えるか」と問われて「そうですね」と答え、衆院解散に踏み切る可能性を示唆。形の上では、郵政民営化法案の衆院通過をサミットの手土産にしたものの、自民党内での小泉包囲網も活発。「ポスト小泉」の風が強さを増しています。
「法案の中身以上に、党運営や党内民主主義を破壊する強引なやり方に、党のため良くないという思いが結集した」(平沼赳夫前経済産業相)
「小泉政権はあと一年。堀内派が中心となって総理総裁を選ぶきっかけにしようというのが今回の行動に含まれていた」(堀内光雄前総務会長)
今回の造反組には、堀内氏をはじめ、綿貫民輔前衆院議長、亀井静香氏ら反主流派の派閥幹部がズラリ。小泉首相をひきずりおろす包囲網の様相です。
首相の任期は残り一年三カ月を切りました。自民党内での「小泉離れ」は明らかに加速。一方、国民のなかでも、郵政民営化法案に対する支持はなく、首相の靖国参拝への批判が高まるなど、政権基盤の弱まりは顕著です。