2005年7月13日(水)「しんぶん赤旗」
CS放送「各党はいま」
志位委員長が語る
郵政、テロ、憲法について
日本共産党の志位和夫委員長は十二日放映のCS放送・朝日ニュースター「各党はいま」に出演し、郵政民営化をめぐる政局問題や、英国ロンドンでのテロ事件などについて、朝日新聞の三浦俊章論説委員のインタビューに答えました。
■郵政民営化を国民は望まず
――衆院本会議で郵政民営化法案が五票差で通過したが。
志位 国民のなかで郵政民営化にたいする批判、不安が大きいことの反映です。世論調査でも、七割が今国会でのむり押しに反対し、全都道府県議会、九割の市町村議会で反対か批判的な意見書があがっています。国民は望んでいません。
――郵政法案の行方にからんで、政局の変動は。
志位 予断をもって言えない事態です。私たちは廃案をめざして奮闘します。そのなかで、参院で否決ということもありえます。今国会会期末の解散という可能性もあります。
一方で、「参院で否決されたら、衆院を解散する」という小泉首相のやり方はむり筋です。「解散カード」で国会に脅しをかけてごり押しすることは、議会制民主主義をこわす乱暴なやり方です。
■市民の殺傷は許されない
――ロンドンでのテロをどうみているか。
志位 無差別に市民を殺傷することは、どんな理由があれ絶対に許されません。
――米国での9・11同時多発テロ後の成り行きと、今回の事件の成り行きは違ってくるのか。
志位 ロンドンの事件は犯人がまだ分かっていません。両者は分けて議論すべきです。
9・11のテロにたいしては、米国はアフガンで報復戦争をし、その後イラクへの一方的な侵略戦争に走りました。その結果、テロリストが活動する土壌を広げることになった。イラクでは、それまで国際テロ組織アルカイダの活動はなかったといわれています。その地域に国際的なテロリストグループが横行するような事態をつくりました。
――イラクの自衛隊の宿営地内に迫撃砲が撃ち込まれたが。
志位 イラクへの「主権移譲」後も、少なくとも数百人の米軍の死者が出ている。そのもとで、派兵に固執している国も当初の三十八カ国から十八カ国まで減った。それだけイラクの状態は悪い。
根源には、外国軍の駐留があり、その外国軍がイラクのさまざまな抵抗の動きに軍事攻撃を加えていることが事態を悪化させている。この流れに自衛隊が組み込まれているわけだから、いまからでもすみやかに撤退すべきです。
――自民党が、自衛軍の明記などを盛り込んだ独自の第一次憲法素案をまとめたが。
志位 結局、戦力を保持せず、交戦権を認めないとした九条二項を改変することに一番の狙いがある。自衛軍の明記とは、海外での武力行使、戦争ができるようになるということです。この一番の焦点がズバリ出てきました。
――一方で、政治力学的に、すんなり改憲の方向に行かないとの見方もあるが。
志位 甘くみるわけにはゆきません。根底に、日米安保を地球的規模に拡大する動きがあります。アメリカが先制攻撃戦略をとっており、日本がいままでのような「後方地域支援」にとどまるということでは困るというアメリカの強烈な圧力がかかっています。根は深い。
しかし、国民との矛盾も深いものがあります。改憲反対の多数派の結集に力を尽くしたいと決意しています。
■首相の靖国参拝侵略を正当化
――小泉首相の靖国神社参拝問題については。
志位 私たちは、靖国神社は過去の侵略戦争を正当化する戦争観にたった神社であり、首相の参拝は政府として、この立場を容認することになるということを問題にしてきました。国内メディア、保守政治家、海外メディアにもずいぶん反応が広がっている。国民全体が、この問題を深く考え、歴史をゆがめる動きの根を絶つところまでとりくみを強めたいと思います。