2005年7月14日(木)「しんぶん赤旗」

?けいざい?

なぜサラリーマン増税?

負担求める相手が違う!


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 寅 わかんねぇな。

 八 また、寅か。どうしたい。

 寅 サラリーマンに増税するって、騒いでいるじゃないか。なんでサラリーマンなんだ。

 八 政府税調会長の石弘光ってぇ人の言い分はこうだ。“少子高齢化社会はオールジャパン(全日本)で支えなくちゃいけない。就業者の八割はサラリーマンだから、ここはサラリーマンにがんばってもらおう”

 寅 なるほどなぁ。

 八 おいおい、納得しちまうのか。なんか変だと思わねぇかい。

 寅 ここは、労働者諸君の出番じゃねぇのかと思ったんだが…。

 八 サラリーマンの数は多いが、もうけているかい。

 寅 そりゃ、もうかっちゃいねぇ。賃金は上がらねぇし、いつリストラされるか不安だらけだ。

■もうけどこへ

 八 もうかってるのは、だれだ。

 寅 そりゃ、大企業だろ。トヨタ自動車は年一兆円(純利益)ももうけているっていうじゃねぇか。

 八 もうかっている者が、それ相応の負担をするってぇのが、あたりめぇじゃねぇのかい。

 寅 そういや、そうだな。

 八 もう、じれってぇ野郎だな。いいか、大企業などが納める法人税は減税に次ぐ減税で、税収は半分(国の法人税収は、一九八九年度の約十九兆円から二〇〇四年度の約九兆円に激減)になっちまった。大金持ち減税も至れりつくせりだ。

 寅 するってぇとなにかい。庶民にだけ、増税ってわけかい。それのどこが「オールジャパン」なんだ。

 八 だろう。腹が立つじゃねぇか。だいたい、サラリーマン増税でどのくらいの負担になるか、わかるか。

 寅 知らねぇな。

 八 驚くなよ。年収五百万円の四人家族(妻は専業主婦)で、年四十二万円の負担増だ(定率減税廃止、給与所得控除半減の場合)。

 寅 四十二万円ねぇ。するってぇと…。

■半年分の食費

 八 ピンとこねぇか。困ったもんだ、生活実感のねぇやつは。いいか、一世帯当たりの毎月の食費がだいたい七万円だ(総務省の家計調査)。四十二万円というと、六カ月分の食費がふっとんじまう計算だ。

 寅 えっ、半年もメシ食うなというのか。

 八 やっと驚いたか。それぐらい大変な負担増なんだ。

 寅 いくらなんでも、そんな増税はできっこないだろう。

 八 ところがだ。都議選のときの自民党や民主党の発言はなんとも心もとない。自民党の武部幹事長は「サラリーマン増税なんて安易に許さない」という。じゃあ、「安易」でなければいいのか。

 寅 民主党は反対じゃないのかい。

 八 サラリーマン増税は「間違っている」というのだが、民主党の岡田代表の言い方は、まわりくどい。日本の財政状況を変えることは不可避ではあるが、税のムダ遣いをやめ、歳出構造を変えていくことが先決であり…(民主党のホームページ)。寅、わかるか。

 寅 わかんねぇな。なにか、順番が違うといってるのか。

■自民も民主も

 八 自民党も民主党も、歯切れが悪いのは本音を隠したいからだ。自民党は「消費税を含む税体系の抜本改革」をやり、所得税の税率構造や控除を見直す(二〇〇五年度税制「改正」大綱)という。

 寅 増税を考えているってぇわけだ。

 八 民主党は、消費税率の引き上げを小泉首相に迫ってきたが、〇五年度「予算案」では、扶養控除・配偶者控除・配偶者特別控除の廃止も打ち出している。政府税調と足並みをそろえている。

 寅 ぼやぼやしてたら、大増税になりかねねぇってわけか。ここは、サラリーマンが本気で怒らねぇといけねぇな。


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