2005年7月14日(木)「しんぶん赤旗」
新たな国立戦没者追悼施設どう考える?
〈問い〉 新たな国立戦没者追悼施設に日本共産党も賛成ということですが、どのような施設を想定していますか。また、千鳥ケ淵戦没者墓苑の拡充案はどう考えますか?(愛知・一読者)
〈答え〉 小泉首相の靖国神社参拝問題の打開策として、新たな国立戦没者追悼施設の建設構想が繰り返し議論されています。
日本共産党の市田忠義書記局長は6月20日の記者会見で、「いま一番問われているのは、施設ができるかどうかにかかわりなく、侵略戦争が正しかったといっている靖国神社に国の責任者が参拝することをやめることだ」とのべました。そのうえで、「侵略戦争の反省のうえにたって戦没者追悼施設を国民の合意でつくることには賛成だ」と表明しました。
焦点は、どのような施設ができようと、あの戦争が正しかったとしている靖国神社に首相が参拝するなら、問題解決にはならないということです。また、新たな戦没者追悼施設の建設を計画しているという口実で、問題をあいまいにすることは許されません。
靖国神社の近くの千鳥ケ淵戦没者墓苑は、日本の中国侵略が全面戦争となった1937年7月以降に戦場や収容所となった地域から収集された引き取り手のない遺骨を納めています。この戦没者墓苑では、宗教団体などが追悼行事をおこなっており、案内があれば日本共産党代表も参列していますが、墓苑のあり方としては、侵略戦争反省の立場が明確とはいえません。
日本共産党は、「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意」した憲法の精神にたって、戦争の犠牲となった方がたを政府の責任で追悼するための施設の建設は意義あることと考えています。同時に、追悼施設の是非や追悼のあり方についてはさまざまな意見もあり、十分な国民的討論をふまえた合意の形成が何よりも大事なことです。
靖国神社問題などの打開のために、侵略戦争と植民地支配の歴史に国民全体が正面から見つめるときとなっています。(平)
〔2005・7・14(木)〕