2005年7月15日(金)「しんぶん赤旗」
財界はなぜ消費税が好き?
大企業減税を庶民穴埋め
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寅 どうにもわからねぇな。
八 こんどはなんだ、考え込んで。
寅 いやな。なにかっていうと、財界は消費税を増税しろっていうじゃねぇか。なんで財界はそんなに好きなんだ。消費税が。
八 なるほど、そうきたか。うーん。消費税って、だれが払うか知ってるか。
寅 あたぼうよ。おれたち庶民だろ。買い物のたびにとられらぁ。
八 じゃあ、大企業は?
寅 大企業だって、部品や材料を買えば、消費税を払うんだろ。
八 ところがだ、製品の価格に消費税分を上乗せすれば、大企業のふところは痛まないわけだ。
■負担軽くしろ
寅 なーるほど。大企業にとっては、消費税があがろうが、どうってことないわけだ。
八 そこが、八百屋のおっちゃん、おばちゃんと違うところだ。この前も、なかなかお客さんから消費税分を上乗せして代金をもらえねぇって悩んでいた。
寅 なにかい? 大企業は消費税なんか痛くもかゆくもないから、平気で税率を上げろっていうのかい。
八 そんなに“かわいい”言い分じゃねぇな。
寅 どこが、かわいいんだ。
八 負担がないからじゃなく、負担を軽くしてもらいてぇから、消費税を増税しろって言ってんだ。
寅 どういうことだ。
八 大企業などが納める法人税という税金がある。この税率をもっと引き下げてくれってわけだ。まだある。年金などの社会保険料は、会社と従業員が半分ずつ負担している。この負担も会社分を軽くしてくれ、できれば負担をなくしてくれって要求している。
■打ち出の小槌
寅 ちょっと待てよ。それと消費税の増税と、どういう関係があるんだ。
八 いいか。法人税を減税したら、その分、国や地方に入ってくる税金が減る。どうやって穴埋めするんだ。保険料の会社の負担を軽くした分、だれが代わりに負担するんだ、となる。
寅 なーるほど。で、だれが負担するんだ。
八 おまえも、わからねぇ野郎だな。ピーンとこねぇか。
寅 ピーンとねぇ。まさか、庶民が負担しろと…。
八 やっとわかったか。消費税の税率を上げればいいじゃねぇかというわけだ。なにせ消費税は、1%引き上げるだけで二・五兆円もの税金が転がり込んでくる“打ち出の小槌(こづち)”だからな。
寅 あきれたね。そんな話ってありなのかい。
八 ありも何も。いいか、財界はもともと“法人税の税率を引き下げろ、財源がないというのなら大型間接税を導入すればいいじゃないか”と、公然と提言していたんだ。その大型間接税の一種が消費税ってわけだ。
寅 よくもまあ、ぬけぬけと。
八 で、どうなったかっていうと、一九八九年度に消費税が導入されてから二〇〇四年度までの消費税の税収と、同じ時期の法人税の減収分がほぼ同じ額。どうだ、驚いたか。
■福祉のためか
寅 たまげたね。大企業などが納める税金が減った分を、おれたちが払った消費税で穴埋めしたってぇわけか。消費税って、福祉のためじゃなかったのか。
八 福祉で何か良くなったものあるか。
寅 そういやぁ、ねぇな。どんどん悪くなるばかり。するってぇと、高齢化社会に備えるためとかなんとか言っている消費税増税の理由も、信用ならねぇな。
八 社会保障はこれからも、負担を増やし、給付は減らす計画ばかりだ。
寅 するってぇと、消費税増税で競いあっている自民、公明の与党と民主党。ありゃ、なんだ。
八 負担を軽くしたい財界・大企業のお先棒をかついでいるだけってこと。どうだ、わかったか。
寅 まいったね、こりゃ。