2005年7月16日(土)「しんぶん赤旗」

有明訴訟

1100人超が追加提訴へ

“母なる海がつぶされる”


 国営諫早湾干拓事業をめぐって、工事差し止めと有明海再生を求めている「よみがえれ有明訴訟」で十五日、新たに千百人を超す漁民とその家族が原告に加わり、追加提訴することを、弁護団が明らかにしました。

 追加提訴は二十九日、佐賀地裁におこなう予定。

 同日までの原告数は、漁民・市民あわせて八百八十二人(うち漁民は百九十六人)。追加提訴で、漁民の原告数は、一気に六・五倍になり、原告総数は二千人を超す見通しです。

 有明訴訟弁護団によると、原告数は水俣病訴訟に匹敵し、「単独の裁判所では、公害訴訟で過去最高になる」と指摘。「工事差し止めという漁民の要求を認めない限り、問題は解決せず、ますます紛争は拡大することが形で示された」と指摘しました。

■「黙らない」痛烈な回答

 五月に福岡高裁が工事差し止めを取り消す決定を出してから、有明海沿岸では、「裁判ざたまでは…」と提訴をためらってきた漁民にも怒りが広がっていました。

 同日、佐賀地裁で開かれた口頭弁論では、追加提訴する原告千百人を代表する形で先に提訴した熊本市河内町のノリ漁業者木村茂光さんが意見陳述。「諫早湾から遠い河内でも漁業では生活できなくなった」と、借金生活の悔しさを訴え。河内漁協組合員約二百人のうち百九十二人が提訴に加わるとのべ、「国から母なる海をつぶされる悔しさが、愛する郷土をつぶされる怒りが突き動かした」と訴えました。

 馬奈木昭雄弁護団長は、「農水省は、諫早湾干拓に手を付けない、えせ『再生事業』をして金をばらまいて黙らせようとしているが、漁民は黙らないとの痛烈な回答だ」とのべました。


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