2005年7月17日(日)「しんぶん赤旗」
靖国・遊就館 見学し感想
元運輸相 「戦争たたえるのが中心」
マスコミ政治部長 「追悼施設でない」
政界関係者の間で、過去の戦争や旧日本軍にかんする資料を展示解説している靖国神社の「遊就館」見学が相次いでいます。
自民党では加藤紘一元幹事長が十三日に「靖国問題を勉強するために」と二時間にわたって館内を参観して回ったといいます。
遊就館を見学した自民党三役経験者は、その動機について「靖国神社や一部の主張では、A級戦犯『分祀(ぶんし)』は、先の大戦を誤った戦いであると認めることになるからできないという。もしそうであるならば、それは真っ向から国際社会と対決することであり、もしかしたらアメリカとも対決することになる。だから、過去の戦争は日本人にとって正しい戦争だったのかどうかの認識をもう一度しっかり持たなければいけない」と語っています。
元運輸相も最近、遊就館を見学。「戦死した人たちへの慰霊と同情は禁じえないが、複雑な気持ちだ。ここが戦争をほめたたえることを中心とする場所であることははっきりしている」と感想を漏らしています。
政治記者の間でも遊就館の見学者が目につきます。最近訪れた大手マスコミの政治部長は参観記を同社発行の雑誌に書いています。
「玄関ホールにゼロ戦の復元機が展示されているのに驚かされる。館内に…太平洋戦争で使った兵器・武器も並ぶ。日本で最初の軍事博物館」「展示資料はいずれも『英霊』をたたえるものであり、戦争の悲惨さを訴えるものや、民間の戦没者を悼むようなものはほとんどない」「遊就館は靖国神社が顕彰施設であって、追悼施設ではないことを見事に物語っている」
そして「ここに満ちている歴史観は『過去の侵略への痛切なる反省』ではなくて、『自存自衛のために避け得なかった多くの戦いがある』というものだ」。
そのうえで「そうした思想に貫かれている靖国神社に個人の心情で参拝するのはもちろん自由だが、国のトップである首相は慎重に考えるべきではないだろうか」と結論づけています。