2005年7月17日(日)「しんぶん赤旗」

負担増 あなたの場合は


 小泉大負担増路線があなたの家計を襲う―サラリーマン増税に怒りが沸騰しています。これまでの負担増や消費税増税計画もあわせると、いったいどれだけの負担増になるのでしょうか。(図参照)


グラフ

■10カ月分の食費が

 たとえば年収五百万円の四人家族(妻は専業主婦、子ども二人、うち一人は十六歳から二十二歳)の場合、サラリーマン増税は年四十二万円(定率減税廃止、給与所得控除半減、配偶者控除と扶養控除を廃止の場合)になります。

 すでに、小泉内閣(二〇〇一年四月発足)のもとで、実施されたか実施が決まっている負担増は年十二・七万円にのぼっています。さらに、消費税が現行の5%から10%に引き上げられたとすると年十三万円の負担増となります。

 あわせて、実に年六十七・七万円の負担増となります。

 一世帯当たりの毎月の食費はおよそ七万円(総務省の家計調査)。負担増は十カ月分に近い食費に匹敵します。

■自公も民主も

 政府税制調査会(首相の諮問機関、石弘光会長)が打ち出したサラリーマン増税にたいして、自民党も民主党も都議選(七月三日投票)では打ち消しに必死となりました。ただ、「安易に許さない」(武部勤自民党幹事長)、「間違っている」「歳出構造を変えていくことが先決」(岡田克也民主党代表)と歯切れの悪いものでした。

 それもそのはず、自民党と公明党は所得税の税率構造や控除を見直す(二〇〇五年度与党税制「改正」大綱)ことが方針。

 民主党も〇五年度「予算案」や「財政健全化プラン」(中間報告)で扶養控除・配偶者控除・配偶者特別控除の廃止を打ち出しています。ともに、政府税調と足並みをそろえています。

 消費税増税にいたっては、民主党は増税の立場を鮮明にし、これまで小泉首相に税率引き上げを明言するように迫ってきました。一方、自民党と公明党は〇七年度をめどに「消費税を含む税体系の抜本的改革」を実現する(〇五年度与党税制「改正」大綱)と宣言しています。

 増税派へのきっぱりとした審判が必要です。

■家族で働く自営業者

 夫35歳、自営業、事業売上高1100万円、事業所得300万円

 妻32歳、専業主婦

 子ども2歳

 (1)これまでに実施された負担増

 所得税の配偶者特別控除の廃止 3.04万円

 (2)すでに決定されていてこれから影響がでてくるもの

 国民年金保険料の引き上げ、住民税の配偶者特別控除の廃止、消費税の免税点の引き下げなどによる負担増 12.03万円

 (3)今後負担増が計画されているもの

 定率減税の廃止 3.63万円

 (4)さらに消費税率が10%になったら 18.88万円

 (5)所得税・住民税の配偶者控除と扶養控除の廃止による増税の影響 5.45万円


■共働き4人家族

 夫50歳、月給35万円

 妻45歳、月給25万円

 子ども21歳、国立大学生

 子ども14歳、中学生

 (1)これまでに実施された負担増

 健康保険料、医療費、介護保険料、雇用保険料、厚生年金保険料の引き上げ、国立大学授業料の引き上げ

 13.2万円

 (2)すでに決定されていてこれから影響がでてくるもの

 雇用保険料、厚生年金保険料の引き上げ、住民税均等割の妻の非課税措置の廃止、消費税の免税点引き下げなどによる負担増 5.7万円

 (3)今後負担増が計画されているもの

 定率減税の廃止、国立大学の授業料値上げなど 10.6万円

 (4)さらに消費税率が10%になったら 22.5万円

 (5)定率減税廃止を除いたサラリーマン増税の影響 43.3万円


■1人暮らしの高齢者

 女性69歳、単身者、パート勤務、年金年額60万円、パートの月給14万円年収228万円

 (1)これまでに実施された負担増

 介護保険料の引き上げ、年金給付の物価マイナススライド 1.0万円

 (2)すでに決定されていてこれから影響がでてくるもの

 所得税、住民税の老年者控除の廃止、消費税の免税点の引き下げによる影響など 4.2万円

 (3)今後負担増が計画されているもの

 定率減税の廃止、住民税の高齢者非課税限度額廃止、これにともなう介護保険料のランク改定 6.2万円

 (4)さらに消費税率が10%になったら 7.5万円

 (5)給与所得控除半減の影響など 0.3万円


■夫婦で年金生活

 夫74歳、年金額240万円、

 妻73歳、基礎年金のみ60万円

 東京23区在住

 (1)これまでに実施された負担増

 老人保険制度に1割負担導入、介護保険料の引き上げ、年金給付の物価マイナススライド、配偶者特別控除の廃止

 9.69万円

 (2)すでに決定されていてこれから影響がでてくるもの

 所得税・住民税の公的年金等控除縮小と老年者控除の廃止、消費税の免税点引き下げによる影響など

 2.25万円

 (3)今後負担増が計画されているもの

 定率減税の廃止、住民税の高齢者非課税限度額廃止、これにともなう国保料、介護保険料の引き上げ、シルバーパスの負担増 10.84万円

 (4)さらに消費税率が10%になったら 10.20万円

 (5)配偶者控除廃止の影響 6.64万円


■共働き3人家族

 夫32歳、月給20万円

 妻30歳、パート勤務月給15万円

 子ども2歳、保育園児

 (1)これまでに実施された負担増

 健康保険料、医療費、雇用保険料、厚生年金保険料の引き上げ

 4.4万円

 (2)すでに決定されていてこれから影響がでてくるもの

 雇用保険料、厚生年金保険料の引き上げ、住民税均等割の妻の非課税措置の廃止、消費税の免税点引き下げなどによる負担増

 2.9万円

 (3)今後負担増が計画されているもの

 定率減税の廃止

 3.6万円

 (4)さらに消費税率が10%になったら

 13.0万円

 (5)定率減税廃止を除いたサラリーマン増税の影響

 13.0万円


■妻は専業主婦、4人家族

 夫41歳、月給28万円

 妻38歳、専業主婦

 子ども10歳、小学生

 子ども4歳、幼稚園児

 (1)これまでに実施された負担増

 健康保険料、医療費、介護保険料、雇用保険料、厚生年金保険料の引き上げ、所得税の配偶者特別控除の廃止 8.9万円

 (2)すでに決定されていてこれから影響がでてくるもの

 雇用保険料、厚生年金保険料の引き上げ、消費税の免税点引き下げなどによる負担増、住民税の配偶者特別控除の廃止 3.9万円

 (3)今後負担増が計画されているもの

 定率減税の廃止 2.5万円

 (4)さらに消費税率が10%になったら 11.3万円

 (5)定率減税廃止を除いたサラリーマン増税の影響 28.9万円



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