2005年7月21日(木)「しんぶん赤旗」
豊かな自然奪わないで
泡瀬干潟埋め立て訴訟 原告が陳述
那覇地裁
国、県、沖縄市が進めている泡瀬干潟埋め立て事業をめぐり、約六百人の市民・県民が県などを相手に、事業予算の支出差し止めと、これまでに支出した約二十億円の返還を求めた泡瀬干潟「自然の権利」訴訟の第一回口頭弁論が二十日、那覇地裁(西井和徒裁判長)で行われました。
口頭弁論では、原告代理人の御子柴慎弁護士が訴状の要旨をのべた上で、泡瀬干潟を守る連絡会の共同代表で、原告の小橋川共男さん(写真家)、漆谷克秀さん(沖縄国際大学教授)が意見陳述し、同干潟に生息する生物の貴重さや、事業自体が経済的合理性に欠けていることを訴えました。
小橋川さんは「(沖縄が祖国復帰して)三十三年の間に、約二千ヘクタールもの埋め立てが行われ、沖縄の豊かな自然はすっかり変貌(へんぼう)した。これ以上、沖縄から自然を奪わないでほしい」と強調。漆谷さんは「すでに破たんをきたしている利用計画を考えるとき、この事業は沖縄市民の生活劣化を招くことは必至であり、悪夢であるとしか考えられない」とのべました。
被告の県・市側はそれぞれ原告らの請求を棄却するように主張。「同事業によって重大なリスクを負担することはあり得ない」(市)、「環境の保全について適切な配慮を行っている」(県)などとして争う姿勢を示しました。