2005年7月21日(木)「しんぶん赤旗」

イラク議会選挙

米国政府が親米派に資金


 【ワシントン=山崎伸治】一月におこなわれたイラク暫定議会選挙で、ブッシュ米政権が親米派に資金提供などの支援をおこなっていたと米誌『ニューヨーカー』最新号(七月二十五日号)が報じました。

■米誌報道

 イランと関係の深いイスラム教シーア派の影響力伸張を嫌ったブッシュ政権が、親米路線をとるアラウィ暫定政府首相(当時)派にてこ入れしたというもの。筆者は、米兵によるイラク人収容者虐待事件の暴露などで知られる著名なジャーナリスト、セイモア・ハーシュ氏。

 それによると、二〇〇四年二月、総選挙がシーア派の要求で約一年後に直接投票でおこなわれることが決まったことを受け、米政府は「米国に近く、イランに敵対的とみられるアラウィ派その他の政党に直接支援を提供する」ことを画策。国民に人気のないアラウィ氏が勝利できなくても、「シーア派の政治的影響力を最小限にとどめる」ことで、アラウィ氏を連合政権の要人にとどめることを狙いました。

 計画を打ち出したのは、イラク問題の国務省顧問だったトーマス・ワリック氏。

 イラク総選挙支援に支出される四千万ドルを使って、秘密裏に携帯電話や自動車、ラジオなどの物資のほか、現金を提供するというものでした。米政府内で抵抗にあい、選挙監視にあたっていた米国の非政府組織(NGO)を利用することをたくらんだものの、NGOに拒否され、計画は〇四年秋にはとん挫したといいます。

 一方、ホワイトハウスはこの時期、「民主主義を拡大しようとしている特定諸国の候補者に秘密裏に現金などの支援提供をCIA(中央情報局)に許可する」とした秘密の大統領「所見」をまとめます。法律にしたがって議会に提出されましたが、民主党が反対しました。

 ところが〇四年十一月の米大統領選挙後、ブッシュ政権は「退職CIA職員や非政府職員が議会で歳出許可を得る必要のない資金を使って」、アラウィ派支援を実行に移したといいます。「帳簿外」でおこなわれたため、具体的な活動はわからないといいます。

 選挙の結果は、シーア派連合が得票率48%で過半数を獲得。次いでクルド人連合が26%、アラウィ派は14%でした。ハーシュ氏は「アラウィ派は、事前の世論調査の支持率に比べれば善戦した」と指摘。しかしアラウィ氏は新政権には残れず、「ブッシュ政権が選挙干渉で達成したものは疑わしい」と成果に疑問を呈しています。


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