2005年7月22日(金)「しんぶん赤旗」
無断写真掲載、教科書会社に抗議
北海道旭川のアイヌ保存会
侵略戦争を正当化する「新しい歴史教科書をつくる会」の中学校公民教科書などに、自分たちが写った写真が無断掲載され、写真説明や文中に不適切な記述があるとして、旭川チカップニ・アイヌ民族文化保存会と同会会長の川村シンリツ・エオリパック・アイヌさん(54)=日本名・兼一=らは二十一日、札幌市内で抗議の記者会見をしました。
扶桑社発行の「中学社会 新しい公民教科書」は差別問題の項目で、二〇〇三年旭川市内で開かれた「こたんまつり」で川村さんらが披露したアイヌの古式舞踊の写真を掲載。同写真には、川村さんや家族、同保存会の人たち約十人が写っています。
川村さんやピリカ全国実行委員会副代表の北川しま子さんらは「断りもなく本人と特定できる写真を無断で載せることは許せない。差別の項目に掲載するのはアイヌ民族を侮辱し差別する行為だ。正しい歴史を広めていきたい」と語りました。
小学五年の子がいる島崎直美さんは「自分がアイヌだと宣言していない子もいる。その子の写真が載ることは人権無視であり怒りを覚える。子どもの将来に出版社は責任を持ってくれるのか」と強い口調で話しました。
同会は同日、同様の写真を自社の歴史教科書に無断掲載した、大阪書籍にたいしても抗議・要請を送付しました。