2005年7月25日(月)「しんぶん赤旗」
アスベスト相談殺到
全建総連
バイト先で粉末集めていた/幼稚園で使用/家の建材が心配
「中皮腫と診断された。どうすればいいのか」「アスベストが家の材料に使われているが大丈夫か」――。二十四日、建設労働者、職人で組織する全国建設労働組合総連合(全建総連)の呼びかけで行われた「アスベスト労災、建設労働110番」には、全国から五百件にのぼるアスベスト被害にかかわる電話相談が殺到、アスベストによる深刻な健康被害の実態と不安が浮き彫りになりました。
この日「110番」を実施したのは二十二の県連などで、相談件数は五百四十四件。このうち九割がアスベスト関連でした。
組合役員や弁護士など十一人を配置した東京都連では、開始一時間前の午前九時には電話が鳴りだし、準備した五台の電話は終了の午後四時までパンク状態。「インターネットで知った」とロサンゼルスから電話してきた人もあり、相談件数は百九十七件にのぼりました。
「二十五年前、アルバイト先でアスベストの粉末を集めていた」という仙台市在住の男性(63)は「当時手袋はしていたがマスクはしていなかった。体は大丈夫だろうか」。四十年前、石綿が大量に降っていたプラント内で作業をしていたという六十二歳の男性も「この五年間で咳き込むようになった。定年を迎えたが今も現場監督をしている。会社の健康診断では何ともないといわれるが、本当に大丈夫だろうか」と訴えました。
アスベスト被害特有の中皮腫や胸膜肥厚斑にかかった人からの相談も。
四十年前に建設関連の設備工をしていたという男性は「最近病院にいったら、アスベスト被害特有の胸膜肥厚斑といわれた。どうすればいいのか」。石綿製造会社に十年間勤めたという男性(70)は「胃がんと診断されたが肺にも病気の跡があるといわれた」といいます。
家族からの相談も寄せられました。
夫がアスベスト製造会社に勤め、十二年前に中皮腫で亡くなったという妻は「この会社はアスベスト被害で亡くなった人数を発表しているが、この中に夫は入っているのか知りたい。会社の連絡先を教えて」と。五年前に夫を中皮腫で亡くした妻は「夫は小さな会社の社長だが、アスベストの吹き付け作業をしていた。でも事業主だと労災認定はうけられないといわれた。どうすればいいのか」と話しました。
三十代の母親は「子どもが通っていた幼稚園の施設にはアスベストが使われていた。子どもが発症するのではないかと心配でしょうがない」と訴えました。「家の材料にアスベストが使われていないか不安」「撤去する業者を紹介してほしい」など、住居にかかわる相談もありました。
相談員は、労災認定の手続きを伝えるとともに、専門の医療機関、アスベストの除去業者などを紹介し、疑問に答えました。
■不安いっそう広がっている
全建総連・宮本一労働対策部長の話 建設関連の労働者だけでなく、そこで働いていたアルバイトや一般の住民からも多くの相談が寄せられたことはアスベスト被害に対する不安がいっそう広がっていることの表れだ。すでにアスベストの危険性は二、三十年前から指摘されていた。それだけに放置してきた国の責任が今こそ問われなければならない。労災や被害補償を含め、被害者を救済していくことが求められている。