2005年7月27日(水)「しんぶん赤旗」

住民の補償制度盛る

アスベスト対策提言

首相に石綿対策全国連絡会議 政府の責任指摘


 約三十の労働組合や市民団体などで構成する石綿対策全国連絡会議は二十六日、石綿(アスベスト)の早期全面禁止や関連工場の周辺住民らに対する補償制度の創設を盛り込んだ提言を小泉首相に提出しました。

 東京都内で会見した同連絡会議の古谷杉郎事務局長らは「アスベストはいまなお、すべての国民の身近に残された課題。処理を誤れば、さらに数十年も被害を拡大することになる」と指摘。「検証と今後の対策が、再びその場しのぎの対応に終わってしまうのではないかという強い危機感すら感じる」と、これまで対応を怠ってきた政府を強く批判しました。

 提言は、▽旧環境庁は、未規制大気汚染物質モニタリング調査として一九八五年度以降実施してきた、一定の環境中のアスベスト濃度測定を九五年を最後にやめてしまった▽すべての省庁が、アスベストを含有した吹き付けの調査方法について、業界などからの情報をうのみにして間違った情報を垂れ流し、再三誤りを指摘したにもかかわらず、是正しようとしなかった▽文部科学省は、学校でのアスベストが社会問題化した八七年当時の調査内容の誤りや不十分さを、懇切丁寧に指摘したにもかかわらず、フォローアップ調査すら行おうとせず、「関係法令及び関係省庁の通知等を順守」するよう促す一片の事務連絡(二〇〇三年十月)で十五年間の空白を埋めようとした―などと指摘。政府によって回避することが可能であった被害がいたずらに拡大させられてきた可能性が大きいと強調しています。

 そのうえで、損害賠償請求訴訟で被災者が時効による不利益を受けないよう立法措置を検討することをはじめ、建築物や車両などでの石綿使用表示の徹底、患者や家族への心のケアの実施などを求めています。


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