2005年8月3日(水)「しんぶん赤旗」
エネルギー事情が厳しくなっても原発に反対?
〈問い〉 中国経済の成長などでエネルギー事情は逼迫(ひっぱく)してくると思います。共産党は原発に反対のようですが、今後もそうなのですか?(東京・一読者)
〈答え〉 エネルギーは経済・社会の存立の基盤であり、その供給確保は重要な課題です。日本のエネルギー政策で問題なのは、約7%という低い自給率なのに、その向上に真剣に取り組まず、技術的に未確立な原発を基本としていることです。安全優先と自給率向上へとエネルギー政策を根本的に転換することが必要です。
原子力の発見は、新たなエネルギーを利用する可能性に道を開いたという意味で重要なものであり、日本共産党は、将来、安全な方法で原子力の平和利用が実現される可能性を否定するものではありません。しかし、いまある原発については、その危険性を踏まえ、段階的に撤退すべきだと考えています。
原発は、もともと原子力潜水艦用の動力炉として開発されたものを、十分な安全性の保証がないまま発電用に転用したものです。そのため、原子炉内の放射性物質が大量に外部に放出される過酷事故の可能性、使用済燃料などの放射性廃棄物の処理・処分方法の未確立など、重大な問題を抱えています。
また、日本では、原子力の安全規制行政を原発推進の経済産業省が担っています。推進機関から独立した規制機関の確立を求める国際原則に反するものであり、国民の安全に責任を果たすことができません。
風力、太陽光・熱、地熱、小水力、波力、バイオマス(木くずや生ごみなど)といった自然エネルギーは、日本の国内に膨大な潜在量があります。政府資料をもとに評価しても、現在の年間電力使用量の十倍以上にのぼります(吉井英勝衆院議員の試算=注)。環境に配慮した自然エネルギー源の開発・活用に本格的に取り組むことが必要です。
あわせて、地球温暖化など地球規模での環境問題を解決するためには、生産から消費まですべての面で浪費を排除し、利用効率も向上させ、省資源・省エネルギー社会をめざすことが求められます。(剛)
自然エネルギーの潜在量 吉井英勝衆院議員の試算によれば、太陽光・風力・マイクロ水力・バイオマスの合計で11兆kW時。これは2002年度の年間電力消費量9447億kW時の11・6倍、原発2947億kW時の37倍。
〔2005・8・3(水)〕