2005年8月4日(木)「しんぶん赤旗」
茨城井戸汚染
健康被害住民が告訴
「ヒ素大量投棄は殺人未遂」
茨城県神栖(かみす)市のヒ素汚染で健康被害にあっている住民は三日、旧日本軍の毒ガス兵器の成分とされる有機ヒ素化合物(ジフェニルアルシン酸)を大量に投棄したことは殺人未遂罪にあたるとして被疑者不詳のまま茨城県警察本部に告訴しました。
有害物質の埋立・搬入を請け負った業者Yを業務上過失傷害障罪にあたるとして告訴しました。
告訴したのは同市の青塚美幸さん(28)、慎一さん(33)、梨奈ちゃん(9っ)、琉時ちゃん(3っ)と度会孝子さん(52)の五人。
告訴状によれば青塚さん家族と度会さんは、二〇〇〇年ごろから原因不明の知覚異常、手足の震えや平衡感覚障害、幼児の発達傷害などに苦しんでいました。〇三年三月に青塚さんらが使用していた共用飲用井戸(A井戸)から高濃度のヒ素が検出され体調不良の原因が判明。〇五年に環境省はA井戸から南東約九十メートルの地下水において極めて高濃度の有機ヒ素化合物を含有するコンクリート塊を発掘。同塊にはヒ素換算値で百八十キロのジフェニルアルシン酸の混入を推定しました。
告訴後、記者会見した坂本博之弁護士は「ヒ素化合物は人体に非常に有害で、投棄された百八十キロは単純計算で体重五十キロの人の半数致死量の二十一万一千七百六十四倍という大量のもの。この投棄は殺人未遂罪にあたる」と説明。
青塚美幸さんは、「家族全員が健康被害にあっている。投棄者の責任を追及し、国の製造責任も問いたい」と語りました。