2005年8月5日(金)「しんぶん赤旗」
「つくる会」教科書 高まる批判
杉並区教委が採択延期
東京
東京・杉並区教育委員会(丸田頼一委員長)は四日の臨時委員会で、教科書採択について論議しましたが、中学校社会科の歴史分野について約二時間論議したものの結論が出ず、公民、地理とともに採択を十二日に延期することを決めました。
■区民500人見守るなか
臨時委員会では、五人の教育委員のうち四年前も「つくる会」教科書(扶桑社)の採択を主張した二人が、「戦争当時日本が使っていた『大東亜戦争』という言葉を載せている」などとして「つくる会」教科書の採択を主張。
別の二委員が「教科書はいろいろな見方を載せるべきと思うが、扶桑社はそれがみえない」などとして、別の教科書を推しました。
納冨善朗教育長は、教科書展示会の区民アンケートの回答の98%が「つくる会」教科書についてで、そのなかには「『不安を感じる』『希望を与える』の両極端の意見がある」と紹介。「つくる会」を含む三社の教科書について「いずれも捨て難い。私のなかでは評価できない」と判断を回避しました。
教育委員会が開かれた杉並区役所には心配した区民が朝から駆けつけて宣伝。約五百人が教育委員会室内外で審議の模様を見守りました。
同区教委は四年前の採択で、二人の教育委員が侵略戦争を肯定する「新しい歴史教科書をつくる会」の歴史教科書を支持。山田宏区長は二〇〇三年に、「つくる会」教科書を支持しなかった区教育長を更迭しています。
■「つくる会」教科書 新たな不採択地区
来年度から使用する中学校の教科書採択で、侵略戦争を正当化する「新しい歴史教科書をつくる会」の歴史・公民教科書を不採択としたことが四日までに分かった地区は次の通りです。▽新潟市▽埼玉県川口市▽奈良県橿原市▽栃木県下都賀地区(壬生町、石橋町、国分寺町、野木町、大平町、藤岡町、岩舟町、都賀町)