2005年8月11日(木)「しんぶん赤旗」

道路上の宣伝、許可が必要?


 〈問い〉 道路上の宣伝活動にたいして、警察が道路交通法違反なので許可申請をするようにいってきました。不当と思いますが、どうなのでしょう?(神奈川県・一読者)

 〈答え〉 駅頭や街頭などで、「憲法9条守れ」「消費税増税反対」とか要求実現を訴えるハンドマイクによる宣伝、ビラ配りなどが自由にできることは当然です。のぼりや展示物を出す行為も自由にできます。

 これらの行為は憲法が定める言論・表現の自由として、最大限に保障されなければなりません。

 警察がそのような宣伝行動に道路使用許可を出すように言ってくることがありますが、法律では道路使用許可を求めるケースには当たりません。道路交通法で警察署長の許可を受けなければならないのは、道路の工事、道路に広告板やアーチなどの設置、場所を移動しない屋台店を出す人たちです。このほか「祭礼行事やロケーションなど一般交通に著しい影響を及ぼす」行為で、交通の安全に必要だとして定められたことを行う人です(第77条1項)。

 かつて、東京・有楽町駅前の道路上で「アメリカは核実験中止せよ」と題するビラを通行人に配布した行為について、東京高裁の判決は、「一般交通に著しい影響を及ぼす」という影響の程度は「相当高度のものを指す」、「人の通行の状況に応じてその妨害をさけるためにいつでも移動し得る状態」で配布するような行為は、「一般交通に著しい影響を及ぼす行為に該当するとは言い難い」と明快に述べています(1966年2月28日)。

 ご質問の神奈川県は施行細則で、「交通のひんぱんな道路」でのビラ配布やのぼりを持った宣伝、人寄せをするような宣伝に警察署長の許可を求めています。しかし、前述の判例からみて、質問のような場所が「交通のひんぱんな道路」に当たらないと思われ、警察署長の許可が必要かどうかも疑問で、違憲・違法の疑いがあります。(光)

 〔2005・8・11(木)〕


もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp