2005年8月15日(月)「しんぶん赤旗」
靖国主題に記録映画
日韓共同制作を発表
戦後六十年目の終戦日を前にした十四日、日韓共同ドキュメンタリー「あんにょん・サヨナラ」の制作発表記者会見と試写会が都内でありました。韓国から来日したキム・テイル監督(42)は「日韓の心をやりとりできる作品にしたい」と、九月末の完成に向け意気込みをのべました。
「あんにょん・サヨナラ」は市民運動で知り合った日韓の四グループが制作したもので、「歴史の清算をきちんと」という思いから“さようなら”という意味の言葉を付けました。
テーマは靖国神社。ドキュメンタリーでは太平洋戦争は「自存自衛の戦争だった」とする側と「侵略戦争だった」とはっきり説く側の両方の識者や若者がそれぞれの意見をのべます。また靖国神社や戦場となった中国を訪れ、実態を明らかにしていきます。スタッフは当時の戦争を知らない世代です。
主人公は韓国のイ・ヒジャさん(62)と日本の古川雅基さん(43)。イさんは父の靖国神社合祀(ごうし)取り下げを求めて裁判をたたかっています。父親は日本の植民地政策で強制動員され、中国で戦病死。「戦争がもたらす家族の痛みがどれだけ大きいかを見てほしい」と静かに訴えました。
「戦争による悲しみの原点は日本人も同じ」と訴えた古川さんは沖縄戦の朝鮮人軍属や従軍「慰安婦」に関心を持ち、在韓軍人軍属裁判を支援する会の事務局長を務めています。
キム監督とともにドキュメンタリーの共同監督をした加藤久美子さん(30)は「靖国の問題は日本だけでなく、アジア全体の問題だと気づかされた」とのべました。