2005年8月20日(土)「しんぶん赤旗」
「つくる会」教科書 採択率0.5%
押しとどめる運動を
教科書ネット 俵事務局長が報告
■教研全国集会
侵略戦争を正当化する「新しい歴史教科書をつくる会」の教科書は一部の地区で採択されたものの約0・5%の採択率にとどまっていることが十九日、大阪府内で開かれている教育研究全国集会で明らかになりました。子どもと教科書全国ネット21の俵義文事務局長が社会科教育分科会で中学校教科書の採択状況について報告したもの。俵氏は、ここで押しとどめるために残された地区での運動が大事になっているとの見方を示しました。
俵さんの推計では、区市町村立中学校では全国五百八十三地区中すでに五百以上の地区の採択が終了。結果が判明した地区のうち、「つくる会」教科書の採択は栃木・大田原市と東京・杉並区の二地区だけです。ほかに東京都が都立学校の一部で採択。私立学校の一部も使用を決めています。教科書の使用見込み数は合わせて六千冊程度で、使用される対象となる生徒数に占める割合は0・5%程度とみられます。「つくる会」が目標に掲げていた10%には遠く及びません。
俵さんは、自民党が運動方針に「歴史教科書の是正」を掲げ、裏からの議員の政治的な圧力や首長と教育長の権限で「つくる会」教科書を採択させようという策動が全国的に行われたことを指摘。教育基本法改悪反対の運動が下地になり、各地でさまざまな立場の人たちが共同して、「あぶない」といわれていた地区でも採択を阻止したと語りました。
採択された地区でも撤回を求める運動が始まっていることを紹介。「私たちの運動は大きく前進している。この到達点を教育基本法や憲法の改悪を阻止する力にしていきたい」と述べました。
分科会では、参加者からそれぞれの地域の状況について発言がありました。「つくる会」前副会長の高橋史朗氏が教育委員に任命された埼玉県の教師は、運動の力で高橋氏は県立学校の歴史と公民の採択のさいに退席することになったと報告しました。