2005年8月21日(日)「しんぶん赤旗」
主張
郵政公約
風で「おけ屋」がもうかるか?
自民党が発表した「政権公約」は「郵政民営化こそ、すべての改革の本丸」とのべています。郵政民営化はあらゆる改革につながる、と。
なぜそうなるのか、自民党は、次のように解説しています。
郵政公社の職員を民間人にすることで公務員を減らす「行革」になる。郵政を民営化すれば経済が活性化し、経済が活性化すれば税収が増え、税収が増えれば財政再建に結びつき、財政が健全化されれば社会保障制度の安心にもつながる―。
これは、「風が吹けばおけ屋がもうかる」式の、でたらめな議論です。
■自公は机上の空論で
自民党は「政権公約」で、「26万人もの郵政国家公務員の既得権を守って、どんな改革ができるというのか」とも主張しています。
郵政は一円の税金も使わずに独立採算で、毎日、郵便の集配を行い、国民の身近な金融窓口の役割を果たしてきました。郵政職員が税金を食いつぶしてきたかのような言い方は、事実に反する中傷です。
郵政職員を「民間人にする」と言いますが、そうなれば、定員二十五万人の自衛隊が国家公務員の約四割を占める最大勢力に浮上します。国家公務員の構成でも、軍事優先の国に変ぼうすることになります。
経済活性化の“根拠”は、三百四十兆円の郵貯・簡保資金が「民間」に流れるから、というものです。
三百四十兆円はもともと国民の資金ですから、ここで言う「民間」は国民のことではありません。国民の零細な資産の結晶である三百四十兆円を、日本の「民間」大銀行やアメリカの「民間」金融会社、「民間」投機市場に流すということです。
しかし、民間銀行は三十五兆円もの公的資金を受け取りながら、中小企業には貸し渋りをしてきました。小泉内閣の四年間で民間への融資を七十兆円も減らしています。郵貯・簡保の資金を銀行に流しても、本当に必要なところには回りません。米国資本に資金を流して喜ぶのは日本国民ではなくアメリカです。
公明党も、自民党と同様に、郵政民営化で日本経済は「たちどころによくなる」(冬柴幹事長)と力説しています。
郵政民営化によって経済活性化、ひいては財政も社会保障もよくなるなどというのは、何の根拠もない空論です。
国民は郵政事業に「安心と信頼」を求めています。民営化で郵貯・簡保を民間銀行・保険会社と同じにしてしまったら、国民の安心と信頼のよりどころがなくなります。活性化どころか、消費者心理を冷え込ませて経済の六割を占める消費に大きなマイナスです。
■銀行への奉仕競う民主
民主党は選挙公約で、来年度中に郵貯の預入限度額を一千万円から七百万円に、その後、五百万円まで引き下げて「規模を徹底的に縮小」するとしています。岡田代表や菅前代表らは、郵貯・簡保を「廃止」してもよいと発言しています。国民向けサービスを縮小・廃止しようというものであり、これでは郵便局の経営も維持できません。
預入限度額の引き下げで規模縮小、さらに郵貯・簡保そのものの廃止は、かねて全国銀行協会が第一の要求に掲げてきました。国民サービスより銀行の要求を大切にする。こんなことを自民党と競い合っているのが民主党です。
投票日まで乗り切れれば、というようなごまかしの議論は通用しません。日本共産党は郵政民営化に真っ向反対の確かな立場を貫きます。