2005年8月21日(日)「しんぶん赤旗」
小泉「改革」 郵政民営化
どこが問題? Q&A
■身近な郵便局減りサービスも大後退
Q 便利になるってホント?
A 民営化したら、身近な郵便局は、もうけ本位の民間大銀行と同じようになるだけです。国民にとって「便利になる」なんて大ウソです。
郵便局は、現金自動預払機(ATM)の引き出し利用手数料もとらず、全国津々浦々で一律のサービスをおこなっています。障害者対応のATM設置も進めています。
一方、民間大銀行は各種手数料を利用者に押し付けています。無料サービスをおこなっている郵便局が民営化されれば手数料引き上げ競争さえおこりかねません。
民間銀行は、過疎地でも都市部でも採算のとれない店舗をどんどん閉鎖。一九九七年から二〇〇三年に全国で四千八も店舗がなくなりました。
小泉首相も、民営化すれば「いまの郵便局が全部なくならないとはいわない。統廃合もある」と認めています。身近な郵便局がなくなり、サービスも大後退、金融サービスから排除される人が生まれるだけです。
■それは政府の責任。お門違いです
Q ムダづかいがなくなる?
A 郵政事業に税金がつかわれていると思われている方がいると思いますが、これはまったくの誤解です。
竹中平蔵郵政民営化担当相も「直接投入されている税金、そういうものはないと承知しております」といっている通りです。
郵貯・簡保のお金が国債に流れてくるからムダづかいになるというのも違います。ムダづかいを無くすには政府がムダづかいをやめればいいのです。
実は郵貯・簡保の資金が、自動的に公共事業や特殊法人などに流れる仕組みは、すでに四年前になくなっています。
郵貯・簡保は運用先として、政府の財政投融資計画(財投計画)に必要な資金をまかなう国債(財投債)を購入しているだけです。民間金融機関も同様に巨額の国債を購入しています。
大手ゼネコン・大銀行奉仕、大軍拡こそムダづかいの根源。ここにメスを入れてこそムダづかいを無くせます。
■利用者の立場でサービス向上を
Q いまのままでいいの?
A 日本共産党は、国民向けサービスを切り捨てる郵政民営化には真っ向から反対します。しかしいまの郵政事業をほんとうに国民に開かれた事業にするための改革も必要と考えています。
特定郵便局が自民党政治との癒着の温床となっていたり、郵政関連事業が高級官僚の天下り先になっているのは大問題。また、庶民の虎の子の貯金が地域経済活性化のために使われることも必要です。日本共産党は次のように提案しています。
郵便局の全国ネットワークとすべての基礎的金融サービスを守り、利用者の立場にたったサービス向上をはかります。
郵政事業の自民党による私物化、選挙への郵便局長や職員の動員をやめさせます。
官僚の天下りや業界との癒着にメスを入れます。
郵貯・簡保の資金については、中小企業金融公庫など公的金融の原資として、中小企業や地域経済に必要な資金が提供できるように活用します。
■先にあるのは大増税計画
Q 郵政民営化が「改革の突破口」?
A 「風が吹けば桶屋(おけや)がもうかる」式の話です。
“民営化すれば資金が民間に流れ、景気がよくなる”といいますが、小泉内閣の四年間で、銀行は民間への融資を七十兆円も減らし、逆に国債を四十兆円も買いました。「官から民」ではなく、「民から官」へ流れたのが実際です。
しかも、大企業の余剰資金は、国家予算に匹敵する八十二兆円。民営化で資金が流れる根拠はありません。
小泉内閣が「改革」の名でやってきたことは、年金、医療、介護など社会保障の大改悪、中小企業の倒産とリストラ支援・失業増大など、すさまじい痛みの連続でした。
小泉首相は「痛みに耐えれば希望ある明日がくる」といいます。しかし、見えてきたのはサラリーマン増税と消費税の大増税計画です。
こんな小泉「改革」を暴走させたら国民生活はもっとひどくなるだけです。
■「民」とは民間大企業のこと
Q 「官から民へ」が流れ?
A 小泉首相のいう「民」とは国民のことではなく民間大企業の「民」。つまり「官から民へ」とは大企業・財界を大事にするということです。
小泉「構造改革」でも痛みを強いられるのは国民や中小企業だけで、大企業にはリストラをすれば税金をまけてやるなど至れり尽くせりです。
郵政民営化でいう「官から民へ」も、国民の大切な郵貯・簡保の資金三百四十兆円を銀行と生命保険業界に流すこと。“預金が郵便局に集まるのは商売の邪魔になる”という大企業の要求にこたえるためです。
総選挙後にねらっている増税でも、空前のもうけをあげている大企業は最初から問題にせず、とりやすいところからとサラリーマン大増税に手をつけようとしています。
法人税は相次ぐ減税で、八〇年代末に二十兆円あった税収が十兆円にまで落ち込んでいます。財界の税逃れの穴埋めで大増税を押しつけられては庶民はたまりません。
■国民には「小さなサービス大きな負担」
Q 「小さな政府」というが?
A 「小さな政府」は、もともと財界が言い出したことです。これは、国民にとっては「少ないサービス」「大きな負担」となります。社会保障、医療、教育などをスリム化=削減することがねらいだからです。
なぜ「小さな政府」なのか。自民党は「巨額の財政赤字を抱える財政を再建する唯一の道」(「自由民主」二十三日号)と宣伝します。
しかし、財政を破たんさせたのは、政府が、アメリカに十年間に四百三十兆円もの公共投資(後に六百三十兆円に拡大)を約束したり、大企業の法人税などを大幅に減税したためです。
そのことにまったく無反省で小泉内閣は、関西国際空港二期工事のようなムダな公共事業や軍事費などの浪費にメスを入れようとはしません。自民党、公明党は国民の税金から政党助成金を受け取っています。
「小さな政府」の名で、暮らし切り捨てを認めるわけにはいきません。
■自民政治ただす「日本改革」提案
Q 共産党は「改革」をどうする?
A いまの政治は外交、内政とも八方ふさがりです。その根源にあるのは、なんでも米国いいなり、大企業・財界ばかり優遇という戦後六十年続いた、異常な自民党政治です。小泉内閣で、それが極限にまで達しています。
日本共産党は、国民の立場から新しい政治におおもとから切り替えるしっかりした方針をもっています。それが「日本改革」の提案です。「たしかな野党」だからできることです。
大企業減税で八〇年代には二十兆円あった法人税の税収は、いまや十兆円程度に減りました。日本共産党は税金の使い方、集め方を暮らし第一にするよう訴えています。
外交では、イラク戦争を真っ先に支持し、改憲して地球のどこでも、米軍とともに戦争できるようにするのが小泉内閣です。
日本共産党は、安保条約をなくし世界とアジアの平和・友好に貢献すること、憲法の理念を政治の基本にすえることを提案しています。