2005年8月22日(月)「しんぶん赤旗」
主張
改悪介護保険法
弱者切り捨てを許さない党を
自民党、公明党、民主党の賛成で成立した改定介護保険法が十月から施行されます。
介護保険施設の食費と居住費を入所者一人平均年間三十九万円も値上げする大改悪です。負担額(基準額)は相部屋で月八万一千―八万九千円、ユニット型個室で十二万八千―十三万九千円です。低所得者対策もありますが、それでもなお年金収入のほとんどを入居費として払う、また、年金を超える負担を強いられる人もおり、不安が広がっています。
■年金超える負担が
日本共産党は、政府に負担の重さを認めさせる質問をおこない、四、五万円の負担増を一万円に抑える経過措置(従来型個室)を盛り込ませました。改悪に正面から反対し、介護を受ける人の立場にたって実態を告発してきたからこそ実りました。
経済的理由から安心して介護が受けられないという事態をなくすために、いっそうの実効ある軽減措置が必要です。
小泉内閣は、“在宅との不公平の是正”といって、施設の食費・居住費の全額自己負担を正当化しています。しかし、在宅サービスの利用者にも負担増が押し付けられています。
今回の改定でショートステイや通所サービスにかかわる滞在費や食費も保険から外され、全額自己負担となります。通所サービスの食費については、一日約四百円の保険給付が廃止される一方、低所得者への軽減措置は盛り込まれていません。
小泉内閣の「不公平是正」で救われる高齢者は見当たりません。
改定介護保険法は、軽度と認定された人にたいし、家事援助など介護サービスの利用を制限するという内容も盛り込み、来年四月実施を予定しています。
政府は、「保険料を抑えるため」といって法改悪を進めておきながら、来年四月の保険料改定では、高齢者の介護保険料を全国平均で現行より月額六百円も引き上げる必要があると試算しています。痛みの押し付けに終わりがありません。
小泉内閣の四年半は、医療、年金、介護の負担増・給付減の連続です。公明党は、小泉内閣発足時から、坂口厚生労働相が「次の改革に向け、今度は鉄かぶともかぶって、雨あられが降っても突進していく覚悟だ」(〇一年五月二十一日、参院予算委員会)とのべた通り、社会保障切り捨てに徹しました。
日本共産党は反対を貫くとともに、お金がなくて社会保障から排除される事態を改善しようと介護保険の利用料・保険料の減免にとりくみ、約四分の一の自治体で独自の制度が実施の運びになっています。
■賛成した政党に審判を
民主党はどうでしょうか。改定介護保険法の賛成討論で、「介護保険財政を維持するために居住費負担を求めることはやむを得ない」とのべました。負担増と給付減を国民に押し付ける立場で、自民党、公明党と一致しています。
民主党は、医療や年金の改悪には反対しましたが、それはすべての高齢者から保険料を取り立てる高齢者医療制度の創設や、消費税増税で財源をまかなう最低保障年金など「抜本改革」が足りないからという理由からです。
日本共産党は、社会保障の財源として、無駄な公共事業、道路特定財源など税金の無駄遣いに徹底的にメスをいれること、史上最高の利益をあげている大企業に相応の負担を求めることを主張しています。
介護保険改悪に賛成した政党に厳しい審判を下しましょう。