2005年8月25日(木)「しんぶん赤旗」
米国産牛肉BSE問題
月齢判定に疑問
プリオン調査会に5専門家が意見書
BSE(牛海綿状脳症)汚染の米国産牛肉輸入再開問題を審議する食品安全委員会プリオン専門調査会(座長、吉川泰弘東大大学院教授)が二十四日開かれ、「生後二十カ月以下の米国産牛肉は安全」とする主張の根拠となる米国式月齢判定に疑問を示す専門家の意見書が提出されました。
座長、専門委員も米国式月齢判定のデータ不足を指摘。農水省は「年間を通じて肉質で月齢判定ができるか、検証が必要」と認めざるをえませんでした。
意見書を提出したのは、新井肇・東京農業大学名誉教授、石橋喜美子・中央農業総合研究センター室長、栗原幸一・麻布大学名誉教授ら五人の専門家。
意見書は、牛の個体識別システムのない米国で「肉の成熟度」で月齢判定できるとする米国農務省の「最終報告書」の前提そのものに疑問を提起しました。とくに、年間を通して「二十カ月以下の牛」の肉が提供されるとすれば、群れで自然繁殖させる方法をとる米国で通常はない「冬生まれ」(十月から翌年二月)の牛が大量に発生しているという矛盾を指摘。その主張に「疑義を持たざるをえない」としています。
説明を求められた農水省側は「米国でいつ生まれたかデータはない」と認め、「一年を通じて二十カ月以下の牛が同じように出てくるかはわからない」と答えました。