2005年8月27日(土)「しんぶん赤旗」

小泉「改革」で公共事業のムダ削減は?


 〈問い〉 小泉首相はムダを削減したかのようにいっていますが、大型開発のムダ削減はどうなったのですか?(大阪府・一読者)

 〈答え〉 製鉄・重工業47社の大企業で40年間も継続して、「紅葉会」(K会)、東会(A会)という談合組織をつくり年間3500億円の鋼製橋梁工事の約6割を工事配分し、独占受注していた事件は、改めて公共事業のムダづかいの実態をまざまざとみせつけました。

 これら橋梁工事のかなりの部分を占める日本道路公団発注工事は、談合がおこなわれた結果、競争原理がはたらかず、かぎりなく予定価格(発注官庁が材料費や労務費を積算して価格を決める)に近い価格で落札する結果となっています。

 たとえば、予定価格10億円の工事が実際には8億円でできるのに、10億円に近い9億9000万円で落札するようなケースです。この工事では約2億円のムダが発生することになります。

 このようなムダづかいが温存される背景には、国・地方合わせて5・8兆円にのぼる「道路特定財源」があります。ガソリン税や自動車重量税を原資にしていますが、50年間にわたり、もっぱら道路整備に使われ、その使命を終わっているにもかかわらず、小泉内閣はいまだにメスを入れようとしていません。その結果、必要のない道路整備がおこなわれるのです。

 公共事業のムダづかいは大規模開発事業で多く発生しています。しかし、小泉内閣は「グローバル化への対応」「選択と集中」などと称して、国際空港、スーパー中枢港湾、大都市高規格道路整備など大型公共事業の予算には手をつけていません。関西国際空港の2期工事には今年も500億円以上の事業費がつぎ込まれ、八ツ場ダム、川辺川ダムなど、必要性がなくなった大型公共事業が依然として「聖域」とされています。

 ムダな公共事業の中止を求める運動は各地で前進しています。川辺川ダムでは、「農家の意思に反した公共事業は許されない」とする住民運動の高まりで03年5月に「国営川辺川利水事業変更計画」を違法とする画期的な判決(福岡高裁)がありました。

 諫早湾干拓の工事でも「差し止め決定」が下され、八ツ場ダムも過去に例のない、5300人に及ぶ住民監査請求がおこなわれました。このことは住民が主人公の立場から国民が公共事業の策定計画に参加していく時代が確実に始まっていることを示しています。(高)

 〔2005・8・27(土)〕


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