2005年8月31日(水)「しんぶん赤旗」
年金「一元化」をどう考える?
〈問い〉 年金制度の「一元化」について、日本共産党はどう考えていますか? また、社会保険庁の浪費や国会議員年金をどう考えますか?(東京・一読者)
〈答え〉 自民・公明・民主は昨年、「年金の一元化問題を含む社会保障制度全般の一体的な見直し」を行うとする「3党合意」を結び、その議論をはじめています。しかし、「3党合意」にもとづく「一元化」議論は、負担は重い方に、給付は少ない方にあわせることになりかねない危険なものです。
現状の枠組みで、国民年金の給付水準を厚生年金・共済年金(被用者年金)にあわせるならば、事業主負担のない国民年金の保険料は数倍に引きあがらざるをえません。また、被用者年金を国民年金にあわせれば、被用者年金の給付水準の大幅な引き下げとともに、財界が要求しているように、被用者年金への事業主負担をなくす入り口になりかねません。どちらにしても、保険料の大幅値上げか、給付水準の引き下げであり、国民にとってよいことは一つもありません。
また、民主党の「年金改革」案は、国民が受け取る年金給付を下げる一方、「年金目的消費税」などとして、消費税を8%に引き上げるとしています。しかも、この案では、現在の無年金者、未加入者、保険料未納者は救済されず、40年後にようやく「最低保障年金」を本格的にスタートさせるものとなっています。これでは、安心できる年金制度にはなりません。
日本共産党は、年金の水準をいっそう貧しくする「一元化」ではなく、年金制度間の格差をなくし、国民から見て公平な制度をめざすべきだと考えます。そのために、いちばん現実的な方法は、まず、最低保障年金制度を創設して、国民年金と厚生年金の低い部分の底上げをはかり、全体として格差を縮小していくことです。そうしてこそ、誰もが「生存権」を保障される年金制度への道が開けます。
社会保険庁のあいつぐ不祥事、年金保険料の目的外流用、特権的な「国会議員年金」など、年金をめぐって、いまほど、政府や国会の信頼が地に落ちているときはありません。国民の不信をとりのぞくために、(1)庁幹部の交際費、官舎の建設費、公用車の購入費など、年金保険料の目的外流用をやめさせる、(2)社会保険庁による特定企業との随意契約、関連企業への天下りなどを根絶する、(3)国会議員互助年金の特権を廃止し国民の税金は1円も使わない本来の「互助制度」にもどし、議員の納める納付金の範囲で運営するようにする―などをただちにおこなうべきです。(政)
〔2005・8・31(水)〕