2005年9月3日(土)「しんぶん赤旗」
首相の「所得税控除見直し」
なぜ“増税宣言”か
小泉首相が一日、「(所得税の)控除見直しも当然やる」と宣言しました。首相の発言は、子育て・働き盛りのサラリーマンをはじめ、自営業者、高齢者にたいする大増税宣言です。
自民党、公明党は昨年十二月、与党税制改正大綱で、「(所得税の)税率構造・控除双方の見直し」を明記しました。これを具体化した政府税制調査会の報告書(六月)は、所得税・住民税の税負担を軽減してきた各種控除を縮小・廃止する方向を明確にしました。政府税調の石弘光会長も、「サラリーマンに頑張ってもらうしかない」と宣言しています。
民主党もマニフェスト(政権公約)で、三年以内に「(所得税の)配偶者控除、扶養控除の廃止」を打ち出しました。
所得税・住民税額を算出する際に、世帯の状況などを配慮して、課税の対象となる金額を減額するのが、給与所得控除をはじめ、配偶者控除、扶養控除などの各種控除です。これを縮小・廃止することは、所得税増税になります。
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定率減税の廃止と給与所得控除の半減、配偶者控除、扶養控除の廃止を仮定し試算すると、年収五百万円の四人家族(妻は専業主婦、子ども二人)では、年四十二万円の増税になります。消費税が10%に増税された場合、その負担増は合計で五十五万円に達します。
選挙戦の中で、「政府税調の考え方をとらない」(自民党)、「サラリーマン狙いうち増税なし」(民主党)と主張する各党。しかしこれは、サラリーマンだけを増税の対象にしているわけではないといっているにすぎません。各党政策討論会(八月三十一日)で、自民党の林芳正参院議員は「今ある所得税の体系の中の控除について一切手をつけないと言っているわけではない」とのべ、「所得税の改革をやれば、すべての所得税に関係する人には(増税が)かかってくる」と発言しました。所得税の控除「見直し」が、サラリーマンを含め多くの庶民に増税になることを認めています。