2005年9月3日(土)「しんぶん赤旗」
民主党の農業政策をどうみる?
〈問い〉 民主党は1兆円の直接支払い(所得補償)をすべての農家に行い、食料自給率を引き上げるとしていますが、共産党とはどこが違うのですか?(宮城県・一読者)
〈答え〉 民主党は、最近の農業・農村の危機をそれなりに指摘した政策を訴えています。
その目玉が、農家に対する1兆円の直接支払いです。小泉自公内閣は新たに導入する経営安定対策(直接支払い)の対象をごく一部の大規模経営に限定しますが、民主党は全農家を対象にすると強調します。その仕組みは必ずしも明確でありませんが、支援対象では日本共産党と共通しているといえます。
しかし最大の問題は、農家がもっとも願っている農産物の価格支持政策を「補助金漬け」と攻撃し、それをやめて直接支払いを行うとしていることです。その点では価格政策全廃の代償として経営安定対策を導入する小泉内閣と変わりがありません。
また、党幹部が「(農産物を含め)すべて自由化すべきだ。それによって得る利益は莫大(ばくだい)だ」(小沢副代表)と発言しているように、農産物輸入の完全自由化を前提にしている点でも、自民・公明と同じです。
今日、農業が危機に陥ったのは、輸入がとめどなく増え、多くの農産物で価格暴落が広がったからです。それを野放しにした対策では、農業や農家経営を維持することはできません。
だからこそ日本共産党は、輸入増加に歯止めをかけ、主な農産物に価格保障をおこない、それに所得補償も組み合わせるべきだと主張しているのです。
輸入や価格暴落を野放しにする農政の大もとは、貿易自由化一辺倒のWTO農業協定の受け入れにあります。アメリカとともに日本の財界が一貫して要求してきたことです。
民主党は財界に政治献金を要求し、大企業優先の規制緩和や民営化などを推進しています。WTO農業協定にも、それを国内に具体化した食料・農業・農村基本法にも、自民・公明とともに賛成してきました。このような態度では、口先では全農家を支援する、食料自給率を向上させるなどといっても、本当に貫けるのか疑問です。(橋)
〔2005・9・3(土)〕