2005年9月5日(月)「しんぶん赤旗」
報道2001
志位委員長の発言(抄録)
四日放送されたフジテレビ系「報道2001」での日本共産党・志位和夫委員長の発言を抄録で紹介します。
■小泉「構造改革」―痛みへの自覚がない
小泉首相が倒産件数の減少、失業率の改善などをあげ、「改革」の成果を誇ったのにたいし、次のようにのべました。
志位 国民に痛みを与えながらその自覚がない、非情さというものを感じます。
たとえば不良債権の処理が進んだとおっしゃったが、中小企業の実態は、貸し渋り、貸しはがし、あるいは債権回収会社への売却で、年間四千人を超える方が命を絶っているわけです。たしかに大銀行の帳簿はきれいになったかもしれないが、廃業がうんと増えているわけです。
それから、失業率が減ったとおっしゃるけれども、正社員が減っているんです。四年間で三百万人もの正社員が減って、パート、派遣、アルバイト、こういう不安定な働き方をされている方が多い。とくに青年は二人に一人がフリーター、あるいは不安定雇用。多くは月収十万円ですよ。貧困層がずーっと若い人の中に生まれている。
さらに、小泉首相が手をつけない「改革」を指摘しました。
志位 「改革」というならば、たとえば金権腐敗政治の改革、これに指一本手をつけていない。日歯連、迂回(うかい)献金があれだけ問題になりました。しかし国会で、この真相解明について総理は指一本動かさない。あるいは橋梁(きょうりょう)談合の問題――天下り、企業献金。腐敗の根源は企業献金だとはっきりしているのに、指一本動かさない。
■郵政民営化―悪いのはすべて郵便局という荒唐無稽
郵政民営化で景気、社会保障、外交までよくなるという議論について、つぎのように批判しました。
志位 この議論は荒唐無稽(むけい)で、逆にいいますと景気が悪いのも郵便局のせい、それから外交がうまくいかないのも郵便局のせい、財政が悪いのも郵便局のせい、全部郵便局のせいだという議論なのです。しかし、景気が悪いのは、経済の六割を占める家計消費をいため続けてきた小泉内閣の責任なんです。外交が悪いのは小泉さん自身が靖国参拝に固執して、アジアとの関係で、まともな近所づきあいをできなくしちゃった。小泉さん自身の責任なんです。
■民営化されたら国に入るお金は10年間で4千億円も減る
また、「公務員を減らせば税金の節約になる」(小泉首相)、「郵政民営化をすると税収が増える」(神崎代表)などの発言について次のように反論しました。
志位 国民にうそをついてはまずいと思います。郵政事業には一円の税金も入っていない、この事実が一つです。もう一つ、公社のままでも、利益の半分は国庫納付金で払うんです。政府の試算で計算してみましたら、公社のままだったら、十年間で四・七兆円入ってくるんです。民営化になったら、四・三兆円しか入らない。つまり、四千億円も、国に入るお金が減るんです。これはうそをついちゃいけない。
■消費税―国民に増税の白紙委任状をくれとは許せない
小泉首相が消費税について、「将来、長い目でみれば、今のままの消費税で財政がやっていけるかというとそれは難しい」とのべたのを受け、次のようにのべました。
志位 総理は、長期的な意味では消費税をあげなければいけないんだといいました。しかし、(自民党の)マニフェストには「二〇〇七年度を目途(めど)に消費税を含む税体系の抜本的改革を実現する」と書いてあるんです。これは再来年のことなんです。(消費税を)上げるか上げないのかは、四年間の衆議院議員の任期中なんですから、上げるか上げないのかこれをきちんとはっきりしなかったら、すべて国民に白紙委任状をくれという話になります。
■靖国参拝―被害を与えた側への理解がない
外交問題で、小泉首相は「日中関係がうまくいかないのを靖国神社のせいにすべきではない」と発言。これを次のように批判しました。
志位 靖国神社の立っている戦争観、歴史観に核心があるんです。遊就館という軍事博物館に行きますと、かつての戦争は「アジア解放の戦争だった」、「自存自衛の戦争だった」と、「日本は正しい戦争をした」と、六十年後の今になってその宣伝をしているわけです。ここに総理が参拝すれば、そういう戦争観に総理がお墨付きを与えることになる。総理は、被害を与えた側に対する、理解が、痛みというものがない。
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四日放映のテレビ朝日系「サンデープロジェクト」をはじめとした郵政民営化についての議論は続報します。