2005年9月6日(火)「しんぶん赤旗」
米金融界・政府・IMFが声援
郵政民営化は小泉政権の“偉業”
小泉政権が推進する郵政民営化には、米金融界や米財務省、さらに米国が大きな影響力をもつ国際通貨基金(IMF)が、こぞって熱い声援を送っています。民営化がもたらす利益を虎視眈々(たんたん)と狙う米金融界の姿が、そこに浮かんでいます。(ワシントン=浜谷浩司)
■虎視耽々(こしたんたん)と利益ねらう
郵政民営化関連法案が参院で否決された直後の八月、米生命保険協議会(ACLI)のフランク・キーティング会長は、「日本の政治は波乱を迎えるだろうが、期待もできる」と述べ、郵政民営化の前進に期待を表明しました。
同協議会は、日本の簡易保険には「特権」が与えられており、米金融機関に対し日本国内の金融機関より不利な扱いをしないとの約束に反していると主張。「平等な競争条件を求める」との言い回しで簡保の廃止を要求し、これが「米政府と同協議会の一貫した立場だ」としています。
同協議会が加盟する米サービス産業連合(CSI)も、米商工会議所や在日米商工会議所、米銀行団体などとともに、郵政民営化を迫る声明を出しています。
米国の金融、保険、速達業界らを代表した三月のCSIの声明は、米企業に「平等な競争条件」を確保することが郵政民営化の「第一目標でなければならない」と強調。そのために、民営化の過程で「日本政府と関係企業が緊密に協力する」ことを要求しています。
スノー米財務長官は四月の下院金融委員会公聴会で、小泉政権の郵政民営化を「偉業」と評価したうえで、いっそうの構造改革を迫っています。
一方、IMFは八月に公表した対日審査報告で、郵政民営化を「適切だ」として、その推進を強く後押ししています。
米財務省と深くつながるIMFは、民営化をはじめとする市場原理至上主義を各国に押し付け、中南米などで厳しいしっぺ返しを受けてきました。
対日審査報告は「計画されている民営化は民間金融機関との競争条件の平等化に寄与する」とし、「(郵政民営化関連)法案はおおむね適切」「遅滞なく進めるべきだ」と述べています。
さらに、郵便事業でのユニバーサル(全国一律)サービスの義務付けは「コストと利益の観点に立つべきだ」として、「(郵便事業への)新規参入業者にはユニバーサルサービスの義務付けをなくすべきだ」と主張。郵便局がなくなる事態に道を開こうとしています。
IMFのロドリコ・ラト専務理事も、小泉政権が進める郵政民営化を「積極的だ」と評価する発言をしています。