2005年9月8日(木)「しんぶん赤旗」
主張
郵政民営化
「改革」の偽り示す虚偽宣伝
郵政民営化について自民、公明の両党は、明白な事実を逆さまに描く宣伝をしています。
小泉首相は郵政民営化で公務員を減らせば税金の節約になると説いています。しかし、郵便局員は肩書こそ公務員ですが、郵便局の仕事は独立採算です。人件費も税金を一円も使わないでまかなっています。
そもそも、日本の公務員数や総人件費は主要国で最低です。首相自身、経済財政諮問会議で総務省の資料を見て「人件費を相当削減していることは事実だ」と認めています。
■「黒字」を「赤字」と
首相は「公務員の既得権益を打破する」とのべて、郵便局員を「特権階級」と非難しています。郵便局の職場では過酷な勤務で過労死が相次いできました。まったく実態を無視した暴言です。
公明の冬柴幹事長は四日のNHK番組で郵政公社が法人税も固定資産税も払っていないと攻撃しました。
しかし、郵政公社は、大企業にかかる法人税などの税率40%より二割五分も高い50%を、利益の中から国庫に納めます。固定資産税は、「特殊法人のうちで最も公共的性格が強い」という理由で、郵便局舎については固定資産税相当額の二分の一になっていますが、ほかの建物などは全額を市町村に納付しています。
自民党の安倍幹事長代理は「今でも郵便事業は赤字だ」、インターネットや携帯のメールが「便利になったから郵便が大変になる」と危機感をあおっています(五日、神戸)。
「赤字」はウソです。郵便は二〇〇三、〇四の両年度とも三百億円弱の純利益を上げており「黒字」です。
電子メールなどとの競合について、参考になるのはインターネット先進国・アメリカの対応です。
米国政府は米国郵便庁の国営と全国共通サービスの維持を前提に、「技術革新は脅威であるとともに絶好のビジネスチャンス」とする報告をまとめました。米国郵便庁の郵便数量は一九九三年の千七百億通から同時テロによる一時的後退を経て、二千六十一億通に伸びています。
何より郵政は郵便、郵貯、簡保の三事業一体の経営によって、民間銀行よりも格段に高い経営効率を実現しています(財務省調査)。その三事業を解体して効率を悪化させようとしているのが小泉内閣です。
郵政の主柱である郵貯は公社を維持すれば黒字、民営化すれば余分な経費で大赤字になると竹中大臣が答弁しています。
自民・公明が恥も外聞もなく虚偽の宣伝を繰り返していることは、もともと郵政民営化が国民のための改革ではないことを示しています。
小泉内閣の発足直後の「骨太方針」に本音が表れています。郵政民営化で「民間金融機関をはじめとする民間部門の活動の場と収益機会を拡大する」―。もちろん「民間」にはアメリカ企業も入ります。
■役割はますます重要
小泉内閣の発足前、政府は郵便貯金の役割を高く評価していました。
「金融ビッグバンが進展する中、郵便貯金が個人金融市場において小口個人の利益確保を図るという本源的な役割はますます重要となる」(「郵便貯金の事業経営に関する将来ビジョン研究会」、二〇〇〇年)。
このとき座長を務めたのは、その後、竹中大臣の片腕となって働いた岩田一政・現日銀副総裁です。
郵政三事業は国民にとってかけがえのないサービスです。国民を欺いて日米大企業に奉仕する民営化に、日本共産党はきっぱり反対します。