2005年9月10日(土)「しんぶん赤旗」
主張
年金と財源論争
庶民増税に頼らない道がある
国民のくらしを支える立場にたつのかどうか―。年金とその財源への対応は、各党の基本姿勢が問われる問題です。自民党と公明党は、昨年の保険料アップ、給付減の年金改悪を当然視。民主党はそれを批判し、「年金改革」を売り込んでいますが、財源は消費税増税です。これでは安心できる年金にはなりません。税金が重くなる一方で、国民の生活不安は広がるばかりです。
■欧州に比べ企業負担軽い
年金問題で求められているのは低額年金、無年金の問題を解決し、国民の信頼を取り戻すことです。日本共産党は、最低保障年金制度の実現に足を踏み出し、低額年金を底上げする制度をスタートさせることを提案。財源についても庶民増税に頼らない道を明らかにしています。大型開発の無駄遣いにメスを入れるとともに、新たに負担が必要なら、史上空前のもうけをあげている財界・大企業に相応の負担を求めることです。
これはけっして無理なことではありません。
国会の年金制度をはじめとする社会保障制度改革に関する両院合同会議で、自民党議員が、「ヨーロッパ諸国に比べまして、我が国の事業主の負担は決して重くないわけで、むしろ軽い」(四月二十二日)と認めざるをえないような現実があるからです。企業の税と社会保険料の負担は、フランスの五割、ドイツの八割です。ドイツ並みにするだけで、七兆五千億円の財源が生まれます。大企業は、リストラで国民を痛めつけて空前の利益をあげ、余剰資金を一年間に十六兆円も積み増し、八十二兆円もためこんでいます。
ところが、自民党も民主党も公明党も、消費税増税などの庶民増税で年金財源をまかなう構えです。
自民党と公明党は、“社会保障給付のために二〇〇七年度(平成十九年度)をめどに、消費税を含め税体系の抜本的改革を実現する”と公約しています。
民主党の岡田代表は、それを「消費税を上げるということだ」といって、「大増税ストップ」を宣伝しています。しかし、民主党も「年金目的消費税などを財源に老後の最低限の年金を保障」と公約しています。大増税ストップというなら、マニフェストを撤回すべきです。
年金のためといって、庶民に増税をかぶせるやり方は、自民党や公明党がすでにやっています。基礎年金の国庫負担割合を三分の一から二分の一に引き上げる財源の一つとして、今年一月、老年者控除の廃止と公的年金等控除の縮小を実施し、年金でくらす高齢者の所得税負担を重くしました。来年は所得税・住民税の定率減税の半減による増税を実施します。自民、公明両党の、〇七年度の消費税を含む抜本的税制改革の実現は、庶民大増税計画の総仕上げです。
■弱者を支える改革なのに
“基礎年金の国庫負担の二分の一への引き上げのため”か、“最低保障年金のため”かの違いだけで庶民大増税に頼る点は自民党も公明党も民主党もまったく変わりありません。
消費税は、所得の低い人ほど重くのしかかる弱いものいじめの税制です。低額年金や無年金者の問題を解決するための年金改革は、弱者のくらしを支えるためのものです。消費税増税を年金改革の財源にするのは本末転倒です。
安心・信頼できる年金制度にしていくためには、年金財源を消費税増税など庶民大増税に頼らず対案を示しているたしかな野党、日本共産党の前進が必要です。