2005年9月16日(金)「しんぶん赤旗」
漁民ら500人追加提訴へ
有明訴訟 公調委裁決に抗議
国営諫早湾干拓事業をめぐって、工事差し止めと有明海再生を求めている「よみがえれ有明訴訟」で十五日、佐賀地裁で口頭弁論が開かれました。
原告側は意見陳述で、公害等調整委員会の不当な裁決に抗議し漁民とその家族約五百人が近く追加提訴することを明らかにし、「漁民・住民の有明海再生を求めるたたかいは押しとどめることはできない」とのべました。
工事差し止めを取り消した福岡高裁仮処分決定に対しても漁民と家族千百四十七人が追加提訴で怒りを形で示しており、相次ぐ不当決定に有明海沿岸で抗議の声と行動が広がっています。
公調委は八月三十日、有明海の漁業被害を認めながらデータ不足などを理由に原因が諫早湾干拓だと認めませんでした。
意見陳述では、佐賀県大浦の漁民原告、大鋸幸弘さん(49)が「データ不足というなら、なぜデータ不足なのか。農水省が調査をさぼり、中長期開門調査をおこなわないからだ。不誠実な役所ほど裁判に勝てるという不正義がまかりとおってしまう」と激しく批判。
馬奈木昭雄弁護団長が「有明海再生の必須の条件としての中長期開門調査の要求を国が実行するまで、漁民・住民がこの要求を取り下げることはない」と断言し、国は裁判所の命令を受けるまでもなく中長期開門の義務を果たせと求めました。
報告集会で弁護団は、中長期開門調査を求める仮処分を早ければ十月中にも申請することを明らかにしました。
▼中長期開門調査 諫早湾を閉め切り、その内側に調整池(河口ダム)と農地を造成する諫早湾干拓事業(長崎県)で、同堤防にある排水門を中長期開門し海水を調整池に導入することによって、環境悪化との因果関係がさらに解明でき、海況の回復も期待されています。農水省が設置したノリ不作等調査委員会が国に実施を求めましたが、国は拒否しました。