2005年9月17日(土)「しんぶん赤旗」
ホワイトカラー・エグゼンプションって?
〈問い〉 財界がねらっているホワイトカラー・エグゼンプションって何のことですか?(大阪・一読者)
〈答え〉 残業代を払わずに何時間でも労働者を働かせたいと財界・大企業は考えています。しかし、いまは労働基準法があってできません。平日の残業や休日出勤をさせたら25%以上、深夜業の場合は50%増の割増賃金を払わなければなりません。
そこで出てきたのが、ホワイトカラー・エグゼンプション(事務労働者・除外)です。
財界の総本山・日本経団連が六月に「提言」を出しました。労働基準法に、「ホワイトカラーは労働時間規定の適用を除外する」という項目を設け、「一定の要件=年収400万円以上」の事務労働者は「地位、権限、責任、部下人数等とは無関係」に、労働時間規制の対象外にするという中身です。
これでは、定刻になっても帰れず、夜なべしても残業代なし、過労死しても「自己責任」―こんな働き方になるということです。
この制度は、アメリカが本家です。アメリカには労働時間を制限する法律がなく、公正労働基準法で、労働時間が週40時間を超えたら1・5倍の割増賃金を払うという条項があるだけです。この条項を除外するというのがホワイトカラー・エグゼンプションです。アメリカの場合には、まだ管理、運営、専門職に限定する要件があるのに、日本経団連の「提言」は、それさえないひどい内容です。
01年に小泉内閣が財界代表を中心に発足させた「総合規制改革会議」で初提起され、02年3月の「規制改革推進三カ年計画」に盛り込まれて閣議決定。今年4月に有識者による研究会が発足。年内に報告をまとめ、来年の国会に法案を提出しようという早いテンポです。
日本共産党は1976年以来、ただ働きを是正するよう、国会で240回余も主張してきました。その結果、厚生労働省が01年4月6日付でサービス残業根絶の通達(4・6通達)を出し、これを力に労働者の申告が相次ぎ、トヨタなど主要企業が不払い残業代を支払わされました。このため、財界はこの通達を敵視し、直後から反撃の動きを開始。「総合規制改革会議」がホワイトカラー・エグゼンプションを「早急に検討着手」としたのです。(弘)〔2005・9・17(土)〕
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