2005年9月22日(木)「しんぶん赤旗」
主張
特別国会開会
国民の反撃は始まっている
総選挙の投票から十日を経て、第百六十三特別国会が開会しました。総理大臣指名選挙で小泉純一郎氏が引き続き首相に指名されました。
第三次小泉内閣は、閣僚全員再任という異例の出発となりました。前国会で廃案になった郵政民営化法案などを、特別国会で成立させることを狙った布陣です。会期も、十一月一日までの四十二日間という、特別国会としては異例の長さ。郵政法案だけでなく、国民いじめ、平和こわしの諸法案が出てきます。
国会周辺には、障害者「自立支援」法案の再度の廃案を訴える人たちの姿がありました。すでに、国民の反撃が始まっています。
■郵政の賛否は相半ば
小泉首相は、自民党と公明党で三百二十七議席を獲得できたのは「郵政民営化は必要だ」という国民の「強い思いのあらわれ」であり、「できるだけ早く郵政民営化法案を成立」させる、とのべています。
しかし、「国民の思い」というなら、自民党と公明党の得票率を合わせても五割前後にしかならず、郵政民営化についての「賛否」は、相半ばしているのが実態です。与党の議席は、一選挙区で一人しか当選しない小選挙区制によって、得票率に比べて過大になっています。その点は、自民党も、「小選挙区の特性が如実に表れた結果」(メールマガジン)と認めています。「国民の思い」とかけ離れた「数の力」で郵政法案を無理押しする態度は、議会制民主主義のあり方に反しています。
しかも、小泉首相は、郵政一本やりの選挙演説を繰り返しながら、国民に真実を語っていません。郵政事業は独立採算で税金を使っておらず、利益の半分(法人税率より高い)を国庫に納付することになっているのに、民営化で税金の節約や税収増になるかのように宣伝しました。事実に反する訴えが「支持」されても、本当の信任とはいえません。
こうした問題点を明らかにして、郵政民営化法案の是非をしっかり審議するのが、国会の使命です。
日本共産党は、郵政民営化反対の論戦を堂々と行います。日米の大銀行と生保業界のために郵政事業をバラバラにして民営化し、国民サービスを切り捨てるのは、国民にとって何一つ良いことはありません。
障害者「自立支援」法案は、障害者の福祉サービス利用料をサービスの量に応じて増やす方式に変えるものです。サービスをより多く必要とする重度障害者ほど、重い利用料負担を強いられることになります。生存権を脅かす内容に多くの国民が反対し、前国会で審議未了・廃案になりました。それを、特別国会に再提出して押し通そうとするところに、小泉政権の非情さが表れています。
税金と憲法の問題でも、「数の力」におごり、国民を無視し、裏切る態度をとっています。
自民党は、総選挙で「サラリーマン増税」をしないかのように宣伝しました。ところが、選挙が終わったとたん、谷垣財務相は、定率減税を廃止する考えを表明しています。定率減税が廃止されると、年収五百万円のサラリーマン家庭(片働き、子ども二人)なら年約三万五千円もの増税になります。
改憲のための「憲法調査特別委員会」を設置して、国民投票法案を審議させようとする動きも重大です。
■暴走に歯止めかける
日本共産党は、小泉政権と正面から対決します。国会での論戦と、多くの人と力をあわせた運動で、暴走に歯止めをかけていきます。