2005年9月22日(木)「しんぶん赤旗」
三井物産排ガスデータねつ造
「環境行政への挑戦」
初公判で検察
三井物産の粒子状物質減少装置(DPF)データねつ造事件で、詐欺罪に問われた元同社先端技術事業室長城祐治(47)と、子会社「ピュアース」の豊田哲郎(48)の両被告の初公判が二十一日、東京地裁(中尾佳久裁判官)で開かれました。検察側は「環境行政への挑戦以外の何ものでもない」と厳しく指摘、両被告に懲役二年を求刑しました。
検察側は冒頭陳述で動機について、「年間約数十億円の開発費用を受けていた半面、収益を見込める事業がDPF事業しかなく、これが失敗すれば、グループ存続が危うくなりかねない状況だった」と指摘しました。同社DPFが都の排ガス規制基準を満たしていなかった際、「虚偽のデータを作出してでも(都の)指定を受けるよう指示」して、再三、データをねつ造。城被告は、これが発覚すると多額の費用を投じた事業が破たんすると考え、「このことは黙っておけ」と口止めしました。
検察はさらに、被告の虚偽説明をうのみにした東京都についても言及。三井物産側の性能アップしたなどとの虚偽の説明を都側の担当者は、都の要求する性能を満たしていると「誤信」。見積書の提出を受けるなどした上で、三井物産からDPF六十二台を購入しました。
検察側は論告で、同事件について「大量の粒子状物質が大気中に排出されることを認識しながら、利益を追求するあまり、安易にデータのすり替えや改ざんを繰り返し、粗悪品のDPFを大量に販売していたもの」と利益優先の企業体質を批判しました。
起訴状によると、三井物産は○二年七月から十月にかけ、仕様が異なる製品を使うなどし、実際より良い性能に偽った試験データを都に提出。同年十二月、不正に指定を受けたDPFを都に販売し、約五千七百万円を詐取しました。
両被告は起訴事実について「間違いありません」などとのべました。
弁護側が執行猶予を求め、公判は結審しました。判決は十月二十六日。
三井物産は全国で、問題のDPFを約二万一千五百台販売。環境汚染対策の補助金として国や自治体から約八十億円が同社に交付されていました。