2005年9月23日(金)「しんぶん赤旗」
衆院に憲法特別委
自公民強行共産党反対
国民投票法案を審議
憲法「改正」のために必要な国民投票法案を審議する衆院憲法特別委員会(正式名称、日本国憲法に関する調査特別委員会)の設置が、二十二日の衆院本会議で自民、公明、民主などの賛成多数で議決されました。日本共産党と社民党は反対しました。
これに先立ち同日午前、衆院議院運営委員会が開かれ、日本共産党の穀田恵二議員が憲法特別委員会の設置に反対しました。
穀田氏は、特別委員会が憲法「改正」のための国民投票法案の審議を目的にしていることは重大だと指摘。自民、民主両党が九条改憲を進めようとするなかで、「国民投票法の狙いが憲法九条の改定にむけた条件づくりにあることは明白であり、断じて設置を認めることはできない」とのべました。
民主党の中川正春議員は、「やり方が拙速だ」と主張しましたが、「中身について反対するわけではない」とのべ、特別委員会の設置に賛成しました。
同委員会の設置をめぐっては、当初与党側は国会法にもとづく常任委員会の設置を提案。日本共産党などが反対したのに加え、公明党など与党内部からさえ異論が続出したため撤回、改めて国会法改正を要せず、国会ごとに本会議の議決で置かれる特別委員会の設置を提案していました。
また、国会法で衆参両院への設置が明記されている憲法調査会との関係をどうするかという問題が浮上。与党側は二十一日の議院運営委員会理事会で、「衆院憲法調査会は委員を選任せずに『空家』にして、今後同調査会の改廃を含め国会法の改正を視野に検討していきたい」という異例の態度表明をしたうえで、同特別委員会設置を強行しました。
■国民との共同で9条守りぬく
■設置強行で志位委員長
日本共産党の志位和夫委員長は二十二日、国会内で記者会見し、衆院本会議で衆院憲法特別委の設置が強行されたことに「強く抗議する」とのべました。
志位氏は、同特別委設置の目的に「国民投票制度の調査」が明記されていることは「きわめて重大」であり、「この時点で国民投票法制定に踏み切ろうとする狙いは憲法九条を変え、海外で戦争する国に変えることにある」と指摘。「設置が強行された以上、委員会のなかで同法案に反対する論陣をはっていく」と決意をのべました。
志位氏は、九条をめぐる新しい重大な動きとして、「自民・民主両党が九条二項削除の方向で足並みをそろえつつある」ことをあげ、自民党は憲法九条を削除し、「自衛軍の保持」「海外での活動」を明記する方向を打ち出し、民主党も新代表の前原誠司氏が九条二項の削除を明言したことをあげました。
九条二項の削除は自衛隊の現状を追認するだけで、海外での武力行使を目的とするものではないという改憲派の言い訳について、志位氏は「これまでの政府の論立てからいっても通用しない」とのべました。
一九九〇年に当時の内閣法制局長官が、憲法九条二項とのかかわりで、「自衛隊は戦力ではない」という建前を掲げていることの帰結として、(1)武力行使を目的とした海外派兵は許されない(2)集団的自衛権は行使できない(3)目的・任務に武力行使を伴う国連軍には参加できない――という三つをあげていることからも、「九条二項をなくせばこの三つのことが可能になる」と指摘しました。
今後のたたかいについて志位氏は、国会内でのたたかいと同時に、「憲法改悪反対の一点での国民多数派をつくる取り組みがいよいよ重要になっており、そのために力をつくしたい」とのべました。