2005年9月29日(木)「しんぶん赤旗」
主張
代表質問
国民の声にどう向き合うのか
衆議院本会議で、小泉首相の所信表明演説にたいする各党の代表質問が行われました。
演壇の前に固まって座る自民党の“小泉チルドレン”が、小泉首相が議場に入ってきただけで大拍手して盛り上がるなど、軽薄な雰囲気もありますが、重大なのは、郵政民営化法案を問答無用で通そうとする与党・自民党、公明党の姿勢です。
総選挙をうけて開かれている特別国会であり、国民の声にどう向き合うのかが、鋭く問われています。
■郵政ごり押しの与党
与党は、自民党の武部幹事長、公明党の神崎代表が質問しました。いずれも、郵政民営化法案の中身は語らないまま、「速やかに成立を」(神崎代表)と、ごり押し姿勢をむき出しにしているのが特徴です。
武部氏は、「国民は、総理の強い決意に、圧倒的な支持を与えた」「国民が郵政改革に望んでいるのは、あくまで『民営化』」と、郵政問題の議論は決着済みであるかのように描き、法案成立を前提に、竹中郵政民営化担当相に「メリット」などの説明を求める質問を行いました。
しかし、日本共産党の志位和夫委員長が指摘したように、与党の得票率は小選挙区で49%にすぎず、「国民投票」なら、これで「多くの国民の信任」をえたとはいえません。
しかも、小泉首相は、国民に真実を語っていません。志位氏は、「郵政事業には国民の税金が一円も使われていないこと、郵政公社のままでも利益の半分は国庫に納付する仕組みになっていること」という二つの事実を、選挙中、「一度でも国民に語ったことがあるか」と質問しました。小泉首相は、「見えない国民負担があることなどを説明した」と答えましたが、「見えない国民負担」というのは、志位氏が指摘した二つの事実をごまかす議論です。そんなことで、国民に「説明した」ことにはなりません。
「真実を語らず、ことの真相を隠し、それでも得票は半数にみたなかった。この選挙結果をもって、まともな審議ぬきに郵政民営化法案をごり押しすることは、絶対に許されません」。志位氏のこの指摘こそ国民の声を正しくうけとめたものです。
民主党の前原代表は、初代表質問でした。今の郵政法案は「官業焼け太り・民業圧迫法案」だが、当初の「政府の基本方針」は「郵貯・簡保は完全民営化」の考えを明記していたはずだとして、「妥協を迫ったいわゆる抵抗勢力も刺客によって自民党から排除され、国民の信任も得られたわけですから、堂々と元の基本方針通り、政府持ち株会社による買い戻しをなくすのが筋ではないか」と質問しました。小泉首相に、「元の基本方針」で推進せよと迫るのですから、「法案には反対」といっても、弱々しいものにしかなりません。
■くらしと平和の大問題
日本共産党の志位和夫委員長は、郵政以外にも、くらしと平和の大問題を正面からとりあげています。
障害者が利用するすべてのサービスに一割の自己負担を導入する障害者「自立支援」法案の「断念」を要求。また、定率減税廃止の不当性を明らかにしつつ、定率減税と一緒に実施した大企業・大金持ち減税だけは存続させるのはなぜかと問いました。「国際化、構造変化への対応で景気対策とは異なる」という小泉首相の答弁は、誰に顔を向けた政治かを端的に示しています。
志位氏は、最後にイラクからの自衛隊撤退と、憲法九条を変えてはならないことを強く訴えました。国民の平和の願いと一致するものです。