2005年9月29日(木)「しんぶん赤旗」
北海道・矢臼別
砂防ダム2基中止
自然保護団体など運動実る
北海道の陸上自衛隊矢臼別演習場(根室管内別海町ほか)内を流れる別寒辺牛(べかんべうし)川水系への砂防ダム三基の建設見直しについて議論していた、札幌防衛施設局と厚岸町が設置した第三者機関の検討委員会は二十八日までに、ほぼ完成している一基には魚が通れる切り込み(スリット)を入れ、計画中の二基は建設を凍結するとの最終計画をまとめました。絶滅危ぐ種イトウが生息している同水系の生態系・環境保護に配慮したものです。
同ダムは一九九七年、在沖縄米軍の実弾演習移転受け入れの代償として、厚岸町が防衛施設庁にもとめた地域振興策として建設が始まりましたが、イトウが遡上(そじょう)できなくなるものだとして自然保護団体が「幻の魚イトウを守れ」と建設反対に立ち上がり、地元の日本共産党組織も問題を指摘していました。
児玉健次元衆院議員、岩佐恵美前参院議員、紙智子参院議員が二〇〇三年に相次いで質問や質問主意書でとりあげ、防衛施設庁が一基途中で建設を凍結して、見直しのための第三者機関を設置し、議論を続けていました。
■他のダムも中止を
紙智子参院議員の話 今回の建設中止の決定は運動の大きな成果です。しかし、ダム撤去に至らなかったことは課題を残しました。ダムは欧米でも見直しが始まっており、北海道や各地の無駄なダム計画を政府は抜本的に見直し、中止する決断をすべきです。