2005年10月1日(土)「しんぶん赤旗」

首相靖国参拝は違憲

大阪高裁「特定の宗教助長」

公務と認定


 小泉首相の靖国神社参拝で、民族的・宗教的人格権を侵害されたとして、第二次大戦で戦死した台湾少数民族の遺族ら百八十八人が首相と国、靖国神社に損害賠償を求めた訴訟で、大阪高裁(大谷正治裁判長)は三十日、首相参拝は「政教分離を定めた憲法の禁止する宗教的活動に当たる」として違憲の判断を示しました。同首相の参拝をめぐる違憲判断は昨年四月の福岡地裁に次ぎ二例目で、高裁レベルでは初。参拝を私的とし憲法判断を避けた二十九日の東京高裁判決などとは対照的な内容となりました。

 一人一万円の損害賠償請求については、権利・利益の侵害はなかったとして、一審同様、原告の請求を退けました。

 大谷裁判長は、首相が公用車で秘書官を伴い、靖国神社で「内閣総理大臣 小泉純一郎」と記帳したこと、参拝が内閣総理大臣就任前の公約の実行だったことなどを指摘。「外形的には内閣総理大臣としての職務を行うについてなされた」と認めました。その上で判例に従い、憲法の禁じる「宗教的活動」とは目的が宗教的意義を持ち、その効果が宗教に対する援助、助長または圧迫、干渉になる行為をいうとする「目的・効果基準」をもとに検討しました。

 目的の点では、拝礼方法などから「深い宗教的意義を否定できない」とし、効果の面でも「国内外に強い批判があるにもかかわらず参拝を実行し」、「靖国神社の宗教を助長、促進する役割を果たした」と認定。「国と同神社とのかかわり合いが社会的・文化的諸条件に照らし、相当とされる限度を超える」と結論付けました。昨年五月の大阪地裁判決は、参拝の公的性格を否定し請求を棄却。原告側が控訴していました。


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