2005年10月1日(土)「しんぶん赤旗」

きょうから改悪介護保険法実施

月2〜3万円負担増

年金だけが頼りなのに


 10月からの改悪介護保険法の実施で、介護保険施設と短期入所の食費・居住費、通所介護・通所リハビリの食費が全額自己負担になります。負担増にお年寄りや関係者から怒りの声が―。

■北海道旭川

 北海道旭川市にある道北勤医協ケアプランセンターには、「負担増のため介護サービスの利用を減らす」と申し出るお年寄りが相次いでいます。

 訪問介護による掃除や洗濯、入浴介助など月一万円ほどの負担のサービスを利用していた要介護1の女性(80)は、十月分の利用をすべて取りやめました。女性は「特養ホームに入所している夫の支払いが月二―三万円上がると施設から説明を受けたから」と電話で連絡してきたといいます。改悪された介護保険法では、特養ホームの居住費・食費が全額自己負担となりました。

 同センターの山平久雄所長は「女性はひざを曲げるのがつらい方。一人でお風呂に入り体を洗うことは多分できない。今は我慢できるかもしれないが、どうなるか…」と心配します。

 同地域では通所介護・通所リハビリの食費全額負担で、一回三百円程度の値上がりになるといいます。山平所長は「数は分からないが、回数を減らす人がかなり出ている。三回利用すれば負担増は以前の一回分になる。収入が少なければ、『じゃあ一回減らそう』となる」と言います。

 改悪後のサービス利用の支払いは十一月以降。山平所長は「十二月には大変なことになる。具体的な数字を示し、国に負担増の中止を求めるとともに、自治体には独自の減免制度を求め働きかけていきたい」と話しています。

■通所の食費も500円「ヘルパー利用減らすしか…」

■東京・杉並

 「週一回ヘルパーさんが来るとホッとするのよね。デイケアも楽しみ。減らしたくない」。東京・杉並区のアパートに一人で暮らすSさん(81)は言います。七十九歳までシルバー人材センターで働きましたが足の痛みで辞め、いまは月七万円の年金だけが頼り。親せきにアパートの家賃を援助してもらっています。

 骨粗しょう症でつえがなければ歩けません。重いものを持てず、買い物と掃除は週一回のホームヘルパーに。通所リハビリにも週一回通います。都の利用料軽減措置(二分の一軽減)で、いまは月約四千円の負担です。

 ところが法改悪で、無料だった通所介護の食費が一回五百円になりました。さらに国の社会福祉法人減免制度の改定を理由に、都が軽減率を四分の一に引き下げ。今月から、月三千円以上の負担増になります。

 ケアマネジャーに訪問介護を月三回に減らすことも相談したSさん。「これ以上切り詰めるものないし、晩酌をあきらめるしかないかな」。テレビを見ながらの晩酌が、Sさんのささやかな楽しみです。

 「苦労してきた年寄りをどうしてこんなにいじめるのか。いまの政治には腹が立って仕方がない」。Sさんは繰り返し言いました。


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