2005年10月5日(水)「しんぶん赤旗」
主張
テロ特措法延長法案
火に油を注ぐ誤りすぐやめよ
小泉内閣は、十一月一日で期限が切れる「テロ特措法」を一年延長する法案を国会に提出しました。
「テロ特措法」は、二〇〇一年の9・11同時多発テロにたいするブッシュ政権の報復戦争を支援する参戦法です。町村外相は、日米外相会談(九月十八日)で、インド洋での海上自衛隊による給油活動の継続を表明し、ライス国務長官を喜ばせました。しかし、戦争によってテロをなくすことはできません。報復戦争への支援はすぐやめるべきです。
■戦争とテロの悪循環
米軍は、〇一年十月、アフガニスタンへの報復戦争を開始し、一カ月余りでタリバン政権を崩壊させました。しかし、ビンラディンもアルカイダの幹部も捕まえることができません。四年が過ぎた今日なお、爆撃や掃討作戦をつづけています。
米軍の軍事攻撃は、一般住民を多数殺りくし続け、恨みを大きくしています。そのことが、治安を悪化させる原因にもなっており、アフガニスタンのカルザイ大統領も、米軍にたいして、空爆の中止や家宅捜索などの掃討作戦の抑制を要求(九月二十日)したほどです。
“テロとのたたかい”と称するブッシュ政権の戦争は、何の罪もない多くの人々を殺傷し、テロ勢力に策動の口実を与え、世界をいっそう危険にしました。
日本共産党は、ブッシュ政権が報復戦争にのりだそうとしたとき、各国政府首脳に書簡を送り、テロを根絶するためには、性急に軍事報復を強行するのではなく、国連憲章と国際法にもとづいて、“法にもとづく裁き”をくだすことが必要だと提起。軍事力で報復することは、国連憲章と国際法上の根拠をもたないものであり、新たな戦争と巨大な惨害をもたらし、テロ行為と武力報復の悪循環の危険があることを指摘しました。テロ勢力を追いつめる国際的な大同団結を訴えたのです。
しかし、小泉政権は、報復戦争を始めたアメリカに追随し、特措法を強行。インド洋での米軍艦船などへの給油支援、在日米軍基地からの物資空輸を行いました。
海上自衛隊による給油支援活動は、四年間で、十一カ国の艦船に五百四十一回、約四十万七千キロリットル、航空燃料を二十四回、約三百七十キロリットルを補給してきました。金額にして、百六十億円を超す支援となっています。
自衛隊の支援が、報復戦争をささえて、アフガニスタンの人々の頭の上に爆弾を落とす手助けになったことは明白です。その結果、世界はますます危険になっています。
まさに、火に油を注ぐ誤りであり、一刻も早くやめるべきです。
■平和の大道にたって
ブッシュ政権は、アフガニスタンに続きイラクでも、国連憲章違反の戦争を行い、国際社会の大きな批判をうけています。「対テロ戦争」は、矛盾を深めています。
国際紛争を平和的手段で解決し、絶対に武力を使わず、威嚇もしないと憲法で明記している日本が、アメリカの無法な戦争を手助けし、支えるなど許されることではありません。
ブッシュ政権は、米軍への後方支援だけで満足せず、日本に、米軍とともに海外で武力行使もできるようにすることを求めています。小泉政権と自民党は、アメリカいいなりに日本を「海外で戦争する国」にするための憲法改悪を狙っています。根本的に誤った道です。
戦争協力をやめさせ、平和の大道を進むことが重要です。