2005年10月5日(水)「しんぶん赤旗」
テロ特措法1年延長
改悪案国会提出 米軍作戦を支援
小泉内閣は四日午前の閣議で、インド洋で米軍艦船などに給油活動をしている海上自衛隊艦船の派遣を継続するため、十一月一日までが期限のテロ特措法の効力を一年間延長する同法改悪案を決定し、国会に提出しました。小泉・自公政権は改悪案の成立を強行した後、同法に基づく基本計画を変更し、当面、海自艦船のインド洋派遣を来年五月一日まで半年間延長する方針です。
テロ特措法は米同時多発テロ直後の二〇〇一年十月、米軍によるアフガニスタンでの「対テロ」報復戦争を支援するため、二年間の時限立法として成立が強行されました。アフガンを中心に「対テロ」軍事作戦を展開している米軍などに対し、自衛隊が補給や輸送といった兵たん活動を行うことを可能にした、憲法違反の“報復戦争参戦法”です。
同法に基づき海自艦船がインド洋で油や水の補給活動を実施。このほか、航空自衛隊が日本国内外で輸送活動を行っています。
「テロの防止・根絶」が口実ですが、報復戦争でテロはなくなるどころか、その温床は拡大。凶悪なテロを世界に拡散する結果になっています。ところが、同法は〇三年十月に二年間の延長が強行されました。
防衛庁によると、海自艦船の給油量はこれまでに約四十一万キロリットル(約百六十二億円相当)にのぼっています。
現在、海自艦船から給油を受けている米軍艦船などは、テロリストの海上移動を防ぐ「対テロ海上阻止作戦」を行っているとされていますが、詳細は公表されていません。このため、政府・与党内からも「無料ガソリンスタンド」との批判の声も上がっています。大野功統防衛庁長官も米軍側に「テロリストや麻薬を摘発した情報の提供をお願いしたい」(九月二十七日)と求めているほどです。
海自艦船の給油や航空自衛隊による輸送への「需要」も激減。今年八月の給油量は最も多かった〇二年三月に比べると四十分の一になっています。
一方で、米軍によるイラク戦争やその後の軍事占領に参加する米軍艦船に海自艦船が給油するという脱法行為が明らかになっており、徹底した審議が求められます。
■市田書記局長が談話
日本共産党の市田忠義書記局長は四日、テロ特措法延長法案の国会提出について、次の談話を発表しました。
一、テロ特措法は、9・11テロにたいしてアメリカがはじめた報復戦争を支援するため自衛隊を海外に出動させるという明白な違憲立法であり、その延長は断じて認められない。
一、テロはどんな口実であれ絶対に許されないものである。しかし、戦争でテロをなくすことはできず、かえってその土壌を拡大することは、この四年の経過をみれば明らかである。今こそ、国連が主体となった司法と警察の国際協力という道に切り替えるべきである。
一、テロ特措法のもとでインド洋に派遣された自衛隊がどのような活動をおこなってきたのか、政府がいっさい明らかにしていないことも重大である。政府は「需要が引き続きある」としているが、給油量は激減しているのが実態であり、なぜ活動を継続する必要があるのか与党の中からさえ疑問の声があがっている。
こうした問題にさえ答えることなく、ただアメリカに言われるままに延長することは許されない。