2005年10月6日(木)「しんぶん赤旗」
イラク憲法国民投票
賛成派有利の解釈撤回
【カイロ=小泉大介】今月十五日に実施されるイラク憲法国民投票に関し、暫定国民議会は五日、同議会が二日にいったん承認した賛成派に有利な決定要件の解釈を取り下げました。国連など国際社会が反対を表明し、国内の憲法反対派が投票ボイコットも辞さない構えをみせるなか、撤回せざるを得なくなりました。
イラク基本法(暫定憲法)の規定では、憲法を承認する国民投票で賛成が過半数になっても、全十八州のうち少なくとも三州で反対票が投票者の三分の二に達すれば否決されます。ところが国民議会の憲法草案賛成派は二日、三州で否決する要件は「全有権者」の三分の二の反対だという新たな解釈を示し多数で承認しました。
三つの州で住民の多数を占めるイスラム教スンニ派勢力は、憲法草案にある連邦制が「国家の分裂をもたらす」として反対し、投票で否決する取り組みをすすめてきました。
スンニ派最大政党イラク・イスラム党幹部のサマライエ氏は「新解釈」について、「真実をゆがめ、草案否決への努力を挫折させることを狙ったものだ」と批判。また憲法起草委員を務めた同派のムトラク氏は「国民投票ボイコットも検討している」と表明していました。
国連イラク支援派遣団(UNAMI)も四日、こうした解釈は「国際的な基準からみて受け入れられない」と反対を表明、イラク政府と国民議会に説明を求めていました。