2005年10月6日(木)「しんぶん赤旗」

警察官に労組がないのをどう考える?


 〈問い〉 8月29日付本紙に「現職警察官の訴え」が載りましたが、第一線で防犯に身をていしている警官とご家族の問題に心を痛めています。日本では警官と消防署員の労働組合が禁止されているが、フランスなどでは認められていると聞いています。警察官に労組がないことを日本共産党はどう考えていますか?(東京・一読者)

 〈答え〉 警察官に団結権や団体交渉権を保障し、労働組合の結成を認めるのは当然です。

 警察官はきわめて非民主的な環境、無権利状態のなかで仕事をしています。検挙件数のノルマがきびしく押しつけられ、24時間の当直勤務で仮眠が取れない、超過勤務手当が支給されないなど、切実な訴えが日本共産党に寄せられています。

 警察官は国家公務員法や地方公務員法によって、労働組合の結成が禁止されているため、こうした不当な権利侵害や過酷な労働条件を改めさせる団結した活動が閉ざされているのです。

 警察官に対する団結権の保障は、警察官の生活と権利を守るためだけでなく、警察官の人権感覚を向上させ、職権乱用や裏ガネ問題の是正など、警察の自浄力を高めることにもつながるでしょう。

 日本共産党は1961年の第8回大会で「下級警察官の団結権を保障する」との要求をかかげて以来、その実現のために国会でも追及してきました。

 日本共産党の諫山博議員が警察官になぜ団結権を認めないのかと質問した際、警察庁人事課長は、警察官に団結権を保障すると「職務遂行に支障を生ずる」と答弁しました。しかし、労働省労政局労働法規課長は「一般的には、特に職務に重大な支障を生じるとはいえない」と否定しています(1975年3月26日、衆議院法務委員会)。

 ヨーロッパ、アメリカなどでは警察官が労働組合を結成するのは常識です。警察官の団結権はILO(国際労働機関)87号条約でも保障されています。

 ILO理事会は、日本の「公務員制度改革」が公務員の労働基本権の制限を続けている問題で、全労連、連合の訴えを審議し、02年11月、政府方針の「再考」を勧告しました。

 政府は国際的な労働者の団結権のルールを警察官や消防署員などにも保障すべきです。(光)

 〔2005・10・6(木)〕


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