2005年10月12日(水)「しんぶん赤旗」
郵政事業の未来 どう考える?
〈問い〉 郵政の民営化には、日米の民間大銀行、保険会社の要求がある等の主張はわかりますが、郵政は現状維持でいいのでしょうか。貴党は、郵政事業の今後の方向をどうお考えですか?(兵庫・一読者)
〈答え〉 日本共産党は、郵政公社をただ守れ、なにもかも現状維持でいいと主張しているわけではありません。郵政事業がめざす方向として、私たちは次の点が重要と考えます。
第一は、郵貯・簡保の廃止や民営化ではなく、むしろ逆に、日本の郵貯・簡保がもっている「国民貯蓄銀行」「国民生命保険」としての役割、国民のくらしのセーフティネット機能を守り、高めることです。
いま世界の国々では、低所得者や小口預金者が金融取引から排除される「金融弱者」問題が広がっています。日本では、郵貯・簡保がそれを防ぐ役割をになってきました。
日本の郵貯は100万円以下の貯金が41・4%、300万円以下が67・3%です。簡保の加入金額も、平均して低く、世帯合計で1千万円未満が59%、300万円未満も22・8%います。民間の生保は、1千万円以上が74%、1千万円以下が15・5%、300万円以下がわずか4・8%です。つまり、職業制限なしで簡単に入れる簡易保険が、国民の生命の最低保障の役割をになっています。だから国民世帯で6割以上が簡易保険に入っているのです。
竹中財務相は、民間の生命保険会社だって誰でも審査なく入れる保険商品をつくっていると言いますが、実際は対象者や給付に厳しい制限があり、簡易保険とはまったく違うものです。
こういう郵貯、簡保のセーフティネットとしての位置づけをきちんとする、そのうえで上乗せをしたいという方は、民間金融機関や民間の生命保険を利用すればいいのです。
第二に、郵政事業をほんとうに国民に開かれた事業にするための改革は必要です。
郵便局がさらなるサービスの向上に努めるのは当然です。
特定郵便局長の世襲の問題も(世襲は3分の1に減っていますが)改善していくべきです。局長会がそのまま自民党の選挙の応援部隊になることも根絶していく、郵政関連事業が高級官僚の天下り先になり、いろいろな施設をつくったりしていることにもメスを入れなければなりません。
第三に、郵貯・簡保の資金運用のあり方です。この点では、中小企業や自治体などへの公的金融の原資として資金提供を拡充することが考えられます。地域で集めたお金が地域の活性化に使われる、そういう仕組みを発展させていくことが、国民にとっても明るい郵政事業の未来像となるでしょう。(実)
〔2005・10・12(水)〕