2005年10月13日(木)「しんぶん赤旗」
戦争でテロはなくせない
CS放送「各党はいま」
志位委員長が語る
日本共産党の志位和夫委員長は十二日放送のCS番組・朝日ニュースターに出演し、テロ特措法延長、イラク派兵、在日米軍再編問題について、朝日新聞の佐藤和雄企画報道部次長のインタビューに答えました。
■テロ特措法延長/国際的な司法と警察の協力こそ
――テロ特措法にもとづく四年間の自衛隊インド洋派遣の評価は。
この四年間で、戦争でテロがなくせたかが問われなくてはなりません。
9・11同時多発テロでアメリカがとった対応は、報復戦争でタリバン政権を転覆させることでした。しかし、テロの実行犯・ビン・ラディンのグループはいまにいたるも捕まっていません。
アメリカは、イラクに戦争を拡大しましたが、イラクでは、ますます情勢は悪化。報復戦争というやり方では、テロはなくならず、逆に国際テロリズムの温床を拡大してしまいました。
テロをなくすには、戦争ではなく、国際的な司法と警察の協力が大事です。また、テロの土壌となっている貧困を本格的になくすための国際的な協力が必要です。
テロ特措法は、報復戦争への協力が目的です。このやり方ではうまくいかないことが明りょうになったわけですから、きっぱりインド洋派遣はやめるべきです。
――具体的な方策としては、何が必要か。
先日イギリスのBBCが報道していましたが、パキスタン政府は、テロリストのグループを民衆のなかから孤立させることに本格的に取り組んでいます。山岳地帯や貧困が深刻な地域で、インフラ(社会基盤)、学校などを整備し、貧困をなくしテロリストを排除していこうと住民との話し合いを粘り強くやっています。
貧困対策とむすびつけて、いわば警察的行動でテロのネットワークをなくすとりくみが報道されていました。こういうやり方が大事だと思います。
■自衛隊イラク派兵/占領軍撤退への外交努力が必要
――自衛隊のイラク派遣の期限が迫っているが。
イラク戦争が始まってからの、この二年半の決算が必要です。
イラク情勢の悪化は非常に深刻です。一番の原因は、アメリカが無法な侵略戦争につづいて、軍事占領を続け、歯向かう抵抗勢力を徹底的に根絶やしにする掃討作戦をおこなっていることにあります。これがイラクの人々の憎しみをかりたて、そこでテロリストが行動する。暴力とテロの連鎖がおこっています。
イラク情勢の前向きの打開をはかるには、占領軍が期限を決めて撤退することがなによりも大事です。
この全体の文脈で考えると、自衛隊がイラク駐留をつづける有害性、危険性は明らかです。いま、サマワの人から、“自衛隊は結局、占領軍の一員ではないか”という批判と怒りの目がむけられはじめています。各国も撤退を始めており、自衛隊がずるずると残るのは危険であり、矛盾を広げるだけです。自衛隊はすみやかに撤退すること、軍事占領をやめ、ほんとうにイラク国民が主人公になり、国連を主体にした支援体制に枠ぐみをきりかえていくための外交努力こそ必要です。
■在日米軍再編/立場の違い超え基地強化反対を
――米軍再編の日米協議をどうみているか。
アメリカ側から“選挙で、政権が強化されたのだから、一気に進めるべきだ”という強い圧力が日本に加わっていると報じられています。
普天間基地の「移設」に伴う新基地建設の問題、キャンプ座間への米陸軍第一軍団司令部の移転が大きく動き出しつつあります。これに対し、沖縄でも神奈川でも山口でも、自治体ぐるみのたたかいになっており、立場の違いを超え、基地の固定化・強化反対のたたかいを大いにすすめたい。
米軍再編の動きのなかで、米軍と自衛隊が一体となって海外に出ていく仕掛けづくりが進んでいます。この本質を大いに明らかにして、国民的なたたかいをつくっていきたいと決意しています。