2005年10月13日(木)「しんぶん赤旗」
石綿原因すべて補償対象
健康被害 吉井議員に官房長官
アスベスト(石綿)健康被害問題で、労働者やその家族、周辺住民の被害補償をめぐって、細田博之内閣官房長官は十二日、「病名を限定する必要はない」とのべ、九五年以降七千人を超えた中皮腫だけでなく、肺がんなどアスベスト由来のすべての病気を対象とすることを言明しました。この日開かれた衆院内閣委員会で、日本共産党の吉井英勝衆院議員の質問にこたえたもの。
吉井議員は、聞き取り調査に入ったアスベスト製品の大手メーカーのニチアスで、労災認定されたアスベスト疾患百四十一人の死因が石綿肺、中皮腫、肺がん、じん肺、間質性肺炎、急性呼吸不全、急性肺炎、肺炎気管支炎となっている事実を紹介。二〇〇三年の労働基準局長通達でも、石綿肺、肺がん、中皮腫、良性石綿胸水、びまん性胸膜肥厚を例示しており、「すきまなく救済すべきだ」と迫りました。
細田官房長官は、アスベスト由来の病気はすべて対象にするとして、病名で限定せず「推定されるかぎり、すきまなく救済していきたい」とも表明しました。
さらに、吉井議員は、アスベストを吸引するとできる胸膜プラーク(肥厚斑)のある住民約千人が、石綿採掘場と製造工場のあった熊本県宇城市(旧・松橋町)の住民約一万人の検診で判明した事実を指摘。「胸膜プラークのある約千人は要管理となった。政府が検討中の法案では、国の責任で住民の検診を実施することが抜け落ちている」と、労災だけでなく、家族や周辺住民に健康診断をおこなうよう求めました。
細田官房長官は「担当部局とも今後協議していきたい」と答えました。
■ニチアスが労災認定したアスベスト疾患
病名 死亡者数
肺がん 24
石綿肺・肺がん 23
じん肺・肺がん 4
じん肺 50
胸膜中皮腫 13
腹膜中皮腫 22
急性肺炎 1
間質性肺炎 2
肺炎気管支炎 1
急性呼吸不全 1
(計141人 ニチアス調べ)