2005年10月15日(土)「しんぶん赤旗」
異常国会 止めるのは国民共同の力
暴走自公 助ける民主
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総選挙を受けて開かれた特別国会は、すでに会期の半ばを過ぎました。議席のうえでの多数を悪政への「白紙委任」と強引に読み替え暴走を続ける小泉自公政権、これに抵抗する「野党」の足場をもたない民主党、国民の共同の力で悪政にストップを呼びかける日本共産党――日本の新しい“政界地図”がいよいよはっきりしています。
■「05年体制」を提唱
■自民
特別国会冒頭の所信表明演説で小泉純一郎首相は、郵政民営化は「多くの国民の信任をいただいた」と強弁。参院でいったんは否決・廃案になった同法案は九月二十六日、そのままの形で国会に再提出。衆院と参院の郵政民営化特別委員会の審議は各一日半、まさにまともな審議なしで強行しました。
障害者の自立を妨げる「自立支援」法案での暴走ぶりも激しいものでした。政府質疑はわずか三日で、重要法案にもかかわらず首相出席の質疑さえ見送りました。
小泉政権の“暴走”は、今後の庶民大増税、憲法九条改悪でもはじまっています。
日本共産党の志位和夫委員長の追及に、所得税の定率減税の廃止、各種控除の見直しは「サラリーマン増税ではない」とした首相の答弁は、まさに公約違反の開き直りでした。
■改憲でも
改憲をめぐっても衆院に憲法特別委員会の設置を強行。一方で、結党五十年にむけて「自衛軍を保持する」と九条を全面改悪する改憲案をまとめています。
自民党の中川秀直国対委員長は、国会開会前の与野党国対委員長会談で「〇五年体制」を提唱。民主党に対し「審議拒否はせずにスピードアップを図る」「社会保障、憲法、安全保障は超党派でやる」など、いわば与党への無条件協力を求めました。
中川氏のいう「〇五年体制」が確立されるなら、政府・与党の法案を国会でチェックすることも、審議を通じて国民の多様な意見を政策に反映することも、政権のおごりや腐敗をただす道も閉ざされます。まさに議会制民主主義を危うくするものです。
■自民にほめられる
■民主
総選挙での大敗北後、前原誠司氏を新代表に選出した新体制の民主党。“改革競争”と“対案型”を掲げましたが、それが最初に試された郵政民営化法案の審議で、与党が求めた超スピード採決にすんなり同意してしまいました。
民主党の対案が政府案とともに質疑の議題になったことで満足し、衆院の特別委員会では、わずか一日半での質疑打ち切りに同意。「改革競争の新しいパターンで意義深い」とほめそやしたのは、自民党の山崎拓理事でした。
審議を尽くすことで問題点をつき、悪法に抵抗するという「野党」の立場を完全に放棄するものです。参院では、質疑を始める前に採決日程を決めるという異常な委員会審議にも同意しました。
同党の「対案」は、郵貯預入限度額の半減や簡易保険の廃止・分割民営化が柱で、政府案と目指す方向は同じ。庶民の身近な金融窓口を守り、生活資金をもうけ本位の金融業界に流す危険を解消するのではなく、逆に政府案より財界要求に沿うものでした。
■皮肉られ
障害者「自立支援」法案でも、民主党は、審議入り前に早くも参院厚生労働委員会で、与党側が早期採決の「環境づくり」とする地方公聴会の日程に同意。「衆院で対案を出すので、時間がないのでやむをえない」(民主党理事)というのです。
「対案」を衆院で出すから、参院ではスピード審議――民主党は十三日の委員会採決に反対したものの、与党側から「衆院で対案を出すなら、早く採決した方がいい」と皮肉られました。
民主党の野田佳彦国対委員長は、「大事な問題については慎重な審議が必要」(「朝日」十三日付)とのべていますが、実際の態度はこの言葉とは裏腹です。
国会論戦でも、「日本の改革を競い合いたい」(前原氏)として、「憲法改正に賛成」(鳩山由紀夫幹事長)と改憲をあおったり、前原氏が公務員給与の引き下げを求めるなど「小さな政府」論を競い、自公の暴走に拍車をかけました。
財界奉仕の「対案」で競い合い、野党のチェック機能も放棄する――この民主党の姿勢は、「オール与党」国会の危険を示しました。
徹底追及の共産党
郵政民営化法案が成立した十四日、国会には多くの人たちが詰めかけ、怒りの声を上げました。
小泉首相がどんなに「信任を得た」と述べようと、総選挙の結果は同法案への賛否相半ばする世論を示したものであり、選挙後も六割が慎重審議を求めています。
日本共産党は限られた質疑の中でも、国民の大切な金融サービスが切り捨てられる問題、その真の狙いが日米の金融資本の要求にこたえるものであることを徹底追及しました。
■存在感ます
障害者「自立支援」法案が参院の厚生労働委員会を通過した十三日。多くの障害者、支援者が国会周辺を埋めた中で、日本共産党の小池晃政策委員長は「最後まで力をあわせて廃案に追い込みましょう」と訴えました。
「小泉改革」が今後にめざす庶民大増税、憲法九条改悪も、国会の中では「多数」による暴挙がまかり通ろうと、国民の平和と暮らしの願いに反するものです。
これと正面から対決し、国民との共同の力を広げようとよびかける日本共産党。その役割と存在感はますます大きなものになっています。